私、足利尊氏の妻・登子です。
1335年、北条時行様率いる北条軍が夫の弟・直義殿を破り鎌倉へ入りました。
鎌倉を逃れた直義殿と私らは三河国矢作で京から来た夫の軍と合流します。
私が夫に会うのは約2年振りでした。
夫は相変わらぬ凛々しい武者姿でした。
夫「登子…いろいろと大変であったな。」
私「いえっ…千寿王は5歳になりました。」
夫「おおっ!千寿王!父に代わり足利軍をよく引っ張ってくれた。礼を申すぞ。」
千寿王「はい!」
私と夫に笑みがこぼれました。
しかし、その後、夫は直義殿を睨みながら、
夫「皆の者!明日三河より討って出る!この後、軍議を致すぞ!…その前に直義、まいれ。」
夫は直義殿を別室へ呼びました。私も付いて行きます。
夫「直義、そなたに預け置いた護良親王様を暗殺しようとしたのは誠か?」
直義「…はい。北条軍が攻める状況でお連れする余裕はありませんでした。それに親王様は自ら命を断たれました。」
夫は声を荒げ、
夫「誰が暗殺せよと申した⁈護良親王様は自らの運命を私に託したのだ!それを勝手なことを!」
直義「帝もお見捨てになった親王…よかれと思い…」
夫「京では自害ではなく足利に暗殺されたと偽りを言うものもおるのだ。これでは京にどんな顔で帰ればよいのだ⁈」
直義「…京にお帰りにならなければよいのです!兄上はわかっておいでか?なぜこれだけの武士が京を出た兄上に付いてきたのか?」
夫「何っ!」
直義「武士たちは帝の新政に絶望し、兄上が新たな世を作ることを期待しているのです!だから皆、付いてまいったのです。」
そう言うと直義殿は部屋から出て行かれました。
夫はただ立ち尽くしていました。
その後、軍議が行われました。
軍議が終わった後、私は夫と話をしました…。
つづく…
