私、足利高氏の妻・登子です。
1333年、夫が率いる足利軍は幕府の命で西国の討幕派を討つ為、鎌倉を出発しました。
足利軍は三河国で足利一門の吉良氏、今川氏らと合流しました。
そこで夫は自らの胸の内を明かします。
「我らは北条を討つ。京の六波羅の北条を討つ。」
これで足利軍の士気は上がりました。
北条を討つことを夫の弟・直義殿と執事の高師直は知っていたようです。
夫はこの2人には何かにつけ相談をしていました。
夫の迷いを2人が断ち切っていたようです。
私と息子の千寿王(後の足利義詮)は兄・守時の館に居ました。
夫が京に着いた頃のある夜…
私は侍女であり間者の茜に呼び起こされました。
茜「御台様(私のことです)、ここは危険です。早く逃げましょう。」
私「何を言っているの?私は人質の身。逃げるわけにはいかぬ。」
茜「殿は北条様に戦いを挑みます。殿より御台様と千寿王様を逃がすよう命じられています。」
私はこの時、初めて夫の行動がはっきりとわかりました。
私「私が逃げたら兄・守時はどうなる?私らを逃した罪に問われるではないか…。私は逃げぬ、ただ千寿王には罪はない。千寿王を頼みます。」
私は千寿王を預け部屋に戻ります。
茜は千寿王を手下のものに任せ、私を説得しに来ました。
茜「御台様、殿の命です。どうかお逃げくださいませ。」
そこへ…兄・守時が入ってきました。
つづく…。
