私、足利高氏の妻・登子です。
夫は帰国していた新田義貞様と密かにあっていました。
私に付いている侍女であり間者の茜による報告では、2人で話し合っていたようですが、内容まではわかりません。
私はますます不安になっていきました。
この頃、河内国では幕府の大軍を相手に楠木正成様が堂々戦っていました。
夫は私に一緒に西国へ行こうと言い出しました。
私だけでなく息子の千寿王も一緒にです。
ところが…これが幕府の耳に入り、北条得宗家の北条高時様から横やりが入りました。
高時様は、
「足利は身内を全て西国へ連れていくとな⁈足利は北条を裏切るつもりではないのか?ならば妻子は置いていかそう。」
私と千寿王は夫の出陣の最中は高時様が預かると言うのです。
これを聞いた夫は怒り心頭でした。
私の不安は最高潮に達し、ついに夫に詰め寄りました。
私「私と千寿王が高時様の預かりになるというのは…これは人質ではないのですか?」
夫「人質…」
私「人質を出さなければならないほど足利は北条に疑われているのですか?殿は何を考えていらっしゃるのですか?」
夫「登子…大事ない。登子はわしの宝ぞ。」
夫は微笑みを浮かべ、私を抱き寄せ、
夫「登子と千寿王はわしが必ず守る。」
私の目は涙が溢れました。
私と千寿王は鎌倉に残り兄・守時の館に居ることになりました。
夫が幕府を裏切れば私と千寿王の命はありません。
そして夫が西国へ向けて出陣しました…。
つづく…。
