和を以て貴しと為す
わしは長尾景虎(ながおかげとら)です。
「そなたが関東管領、上杉憲実(うえすぎのりざね)か、若いの。」
憲実は足利義持(あしかがよしもち)に会った後、義持の弟で僧である義円(ぎえん)と会った。
義円さんは153代の比叡山延暦寺の天台座主なんだよ。
現在の比叡山延暦寺
憲実「お初にお目にかかります。上杉憲実です。」
義円「鎌倉の持氏(もちうじ)のわがままに困っているであろう?」
憲実「…いえ、我が主は私に様々なことを教えていただいております。困ってはおりませぬ。」
義円「ほぉ、満済(まんさい)、兄上(義持のこと)は困っておるのではないか?」
義持の側近である満済は困った表情をして、
満済「今は鎌倉との仲は鎮まっておりまする。」
義円「まぁよい。兄上にも新たな子が授かるとよいのだが…万一の時は兄上の弟が多数いる。憲実、持氏が将軍になることなぞ、ありえぬぞ。」
憲実「…わかっておりまする。」
義円「なら、そのこと、持氏に申すのだぞ。」
義円はその場を立ち去った。
憲実は、義円の目を冷たく感じていた。
満済「憲実殿、不快な思いをさせてしまったようで申し訳ない。」
憲実「いえいえ、京の足利家の方々に会える機会は中々ありませぬゆえ、不快ではごさいませぬ。お気になされぬように…。」
憲実は宿泊先の醍醐寺に戻った。
憲実は持氏の願いである「義持の養子になる」ことがかなわず、頭を悩ませていた。
憲実の家臣、長尾忠政(ながおただまさ)は、
忠政「殿(憲実のこと)、公方(持氏のこと)様にどのように伝えますか?」
憲実「今、それを考えておった。」
忠政「断られたと言うと…。」
憲実「いや、大御所(義持のこと)様は、はっきりと断ったわけではない。まだ後継ぎのことは考えてないと言っていたし、公方様の願いを心に留めておくと言っていた。」
憲実は、
『まだ大御所様は決めておられぬのだ。義円様が言ってたように子を授かるかもしれぬ。』
憲実はそのように伝えようと考えた。
忠政「ところで、昨夜の矢で襲ってきた曲者のことですが…」
憲実「何かわかったのか?」
忠政「いえ…襲われた時間に山法師の姿を見たものがいたと平太(へいた)が調べあげております。それが誰だかはわかりませんが…。」
憲実「山法師…何だろ?」
数日後、憲実一行は京を後にし鎌倉に帰った…。
つづく…








