岩手の花巻は全体に静かな街だ。
そこには材木町というところがあって、材木問屋の町として400年の歴史があるそうだ。
その町を流れる北上川と並行してイーハトーブアベニューが走っている。
もちろん宮沢賢治に因んで付けられた名前だ。
その通りには光原社という出版社がある。
賢治の『注文の多い料理店』を出版したところ。
その中庭には「可否館」というコーヒーショップがあるが、この店が何とも洒落ている。

そしてその奥の壁には、『雨ニモマケズ』の詩や言葉がいっぱい書いてある。
賢治の言葉は素朴だが、実に真っすぐだ。

この通りから少し離れたところには宮沢賢治記念館がある。
賢治の夥しいほどの資料が展示されている。
多くの写真や自筆の原稿や愛用したチェロ・・・。
賢治の独特の宇宙を感じる。
そして、その記念館の近くにはレストランがある。
その名も「山猫軒」。
『注文の多い料理店』に出てくる店の名前だ。

余計なことだと思うが、この物語はこんな内容。
イギリス風の二人の紳士が山へ狩猟に行ったが、山は不気味な空気に急変する。
2匹の猟犬はその恐ろしさに死んでしまうが、二人は犬の値段しか頭にない。
不気味さが増して恐ろしくなった二人が帰り道を探していると、そこに洋食料理店が現れた。
ホッとして店に入ろうとすると「当軒は注文の多い料理店ですから・・」と断り書きがある。
それを評判の店と解釈する。
扉を開けると「髪をとかして履物の泥を落とすこと」とある。
いくつものドアがあって、そのたびに注文が書いてある。
最後には「体中に塩をもみ込んでください」とある。
ようやく二人は気付いた。
ここは客に料理を食べさせる店ではなく、お客を食べる店だと。
怖くなって逃げようとするがドアが開かない。
そこへ死んだはずの2匹の犬が現れて何者かと格闘を始める。
すると店は消えてなくなり、二人は恐々と帰った。
さて、そんな物語です。
いくつかの教訓があるようですが、それはあなたにお任せします。
話を元に戻すと、私が見た「山猫軒」の入り口には「注文」は何も書いてなかった。
普通の洋食メニューが出ているだけだった。
だが、もし中に入っていたら・・・。
怖いですねぇ~。
あなたは入ってみますか?
もし怖かったら、わんこそばの店もありますよ。