こんなことはありませんか。

 

 

「水泳運動は,A,B,Cの3つのグループに分けて指導すればよいと思っている。」

 

「教師が一方的に技能指導を行っている。」

 

「だれが何m泳げたかを名簿にチェックすることで,水泳運動の学習評価として満足している。」

 

 

 

 

 

 

私は,「指導と評価の一体化」を図ることを意識しながら水泳運動の指導計画を作成しています。そして,泳げない児童を泳げるようにすることだけにこだわった教師の一方的な技能指導をしないように心掛けています。水泳運動は,他の内容のまとまりと同様に,「知識及び技能」だけではなく「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」の三つの資質・能力をバランスよく育むのに適した内容であると考えます。

 

 

「思考力,判断力,表現力等」

 

ア 自己の課題を見付け,その課題の解決の仕方を考えたり,課題に応じた練習の場や段階を選んだりすること。

 

→自己の課題を見付けることができるように準教科書で運動のポイントを示したり泳ぎが上手な子をモデリングしたりした上で,バディで話し合いながら運動のポイントと比較して考えさせる。そして,「手のかきが課題なら,足にビート板を挟んだり陸上で動きを確認したりする。」「足が課題なら,プールサイドを持って練習したりビート板で練習したりして友達に見てもらう。」など,課題に応じた練習の場や段階を選んだりすることができるように課題と練習の場をつなげてあげる手立てが効果的だと考えます。

 

 

 

イ 自己の能力に適した記録への挑戦の仕方を選ぶこと。

 

→「前回までは○○mだったから今日の目標は□□mに設定する。そのために~を意識しながら練習したり・・・の場で練習したりする。」と記録の達成やストロークの回数などに着目させて,そのためにどうするかを考えさせる手立てが効果的だと考えます。

 

 

 

ウ 課題の解決のために自己や仲間の考えたことを他者に伝えること。

 

→バディを組んで,バディの相手の課題の解決のために考えたことを伝えるように指導します。その際,運動のポイントや自分なりのこつが分かっていることが前提になるので,単元の後半で学習課題に設定することをおすすめします。

 

 

 

「学びに向かう力,人間性等」

 

ア 水泳運動が自己保全のために必要であることを生かし,クロールや平泳ぎをしたり,背浮きや浮き沈みをしたりするなどの水泳運動に積極的に取り組むこと。

 

→何度も試技したり自分から友達と関わろうとしたり児童が積極的の具体を学習カードに記述できるようにします。そのために,泳力に応じた練習の場を設定したりバディで互いに少しの伸びを喜んだりできるような活動を取り入れることが大切だと考えます。

 

 

 

イ 自己や仲間の課題を解決するための練習では,練習場所やレーンの使い方,補助の仕方などの約束を守り,仲間と助け合うこと。

 

→単元の最初からバディを組んで練習することで,仲間と助け合うことができると考えます。また,「公正」は,第1時で約束をきちんと伝えていることで,イが学習課題のときの児童の様子として見取ることができると考えます。

 

 

 

ウ 水泳運動で使用する用具の準備や片付けなどで,分担された役割を果たすこと。

 

→準備・片付けは,児童が準備や片付けをすることがなければ評価することができません。したがって,学習の始めにプールサイドが暑いときにバケツで水をまいている様子やビート板を使って練習し,その後片付けている様子などを観察できるように,教師が意図的にそのような状況を作り出すことが大切だと考えます。

 

 

 

エ 課題を見付けたり,解決方法を工夫したりする際に,仲間の考えや取組を認めること。

 

→泳ぎが上手な児童の手本を見せて,どこがよいかを見付ける場面を設定したり,前に比べて成長が見られた児童を皆で観察したりすることなどが考えられます。バディを作って練習していれば,単元を通して成長したところに気付く児童も見られるようになります。

 

 

 

オ プールの底・水面などに危険物がないかを確認したり,自己の体の調子を確かめてから泳いだり,仲間の

 

体の調子にも気を付けるなど,水泳運動の心得を守ってから安全に気を配ること。

 

 →プールに入る前,上がったあとに常にバディを確認することや学校ならではの約束を徹底して守ることが自分や友達の命を守ることにつながるという指導が必要だと考えます。拡声器を使わなくても教師が話し始めたら皆が教師を向いて話を聞くことができるなど学習規律が大切だといえます。

 

 

先行実践・参考文献

なし