研修施設は山梨にある。一応そこそこスポーツが強い学校なので、運動部が合宿の宿舎の代わりに使っている。施設を出ると目の前には芝生のグラウンドが広がっているのだ。
ハヤトはナギサと別れて、男子部屋に向かった。大学にはクラス単位の授業はほとんどないが、前もって第二外国語のクラスで、部屋割りがされているのだ。ハヤトは第二外国語にスペイン語を選択していた。
学校を出発したのが13時過ぎだったので、施設についたのは16時頃だった。夕飯まで時間があったので、新しくクラスメイトになる男たちと交流を深めた。
7人部屋だったのだが、なかなかおもしろいメンバーですぐに打ち解けることができた。男がそろって仲良くなれば、自然と流れは女の子の話題になる。夕飯のときに、かわいい子を探すという共通の目的を持つことで、さらに親交は深まった。
夕飯は座敷部屋で食べる形式だった。ここはホテルではないので、テーブル席でのビュッフェスタイルなんかではないのだ。いわゆる横長の大きな「ちゃぶ台が」が大きな畳の部屋に均等に並んでいて、そこに簡単な食事が並べられているだけだった。
席が決まっているらしく、ハヤトは自分の席へと向かった。同部屋のメンバーのうち2人が横並びになりひとつのちゃぶ台の前にあぐらをかいた。ハヤトは3人の中の一番左端だった。正面には女の子が座るようになるらしい。
「あれ!ハヤト君!同じ席じゃん!」
偶然にも同じちゃぶ台をナギサたちのグループと囲むことになった。ハヤトの正面にはナギサが座った。ナギサはカーディガンを羽織り、下はワンウォッシュのタイトなデニム。靴下やタイツではなく、黒のフットカバーを履いていた。ハヤトは思わず、日焼けしていない足の甲に目をやっていた。テニスで日焼けはしているが、足の甲は白かった。
たいしておいしくはない食事だったが、その場はとても楽しかった。同じ部屋のメンバーとの会話も楽しかったし、正面に座るナギサのグループとの会話も弾んだ。食事は完全に終わっていたが、どこの席でも部屋に戻る者がいないので、ハヤトたちのグループも同じように席についていた。
ハヤトは横のメンバーと話をしたり、正面のナギサと話したり、とても楽しい時間を過ごした。ときどき正座したり、足を崩したりするナギサをみるのにとてもドキドキした。
「あー足がしびれた!」
そういうとナギサは立ち上がると何度か屈伸をした。ナギサの独り言には誰も関心を示さず、ハヤトとナギサを除いた4人は話に夢中になっている。
ハヤトの目はそのままナギサに釘付けになった。このときの光景はなぜか、とてもインパクトがあり、本当にドキドキしたのだ。
ナギサは立ち上がったままフットカバーを脱ぎ、足首から下が真っ白な素足があらわになった。真っ白な素足、爪には真っ赤なペディキュアが塗られていた。そしてポケットからウェットティッシュをだして、足首から下を丁寧に拭きはじめた。同じように反対の足も同じ作業をした後、ナギサは再び座った。
足をまっすぐに伸ばし、足の裏をハヤトに向けるような座り方で。
「ごめんね。邪魔じゃない?」
「え?」ハヤトは一瞬完全にナギサの足の裏に見入ってしまった。大きくも小さくもない細長の足。おそらくテニス中に足首までのソックスを履いているのだろう。顔や手と違い真っ白な足。柔らかそうなきれいな足の裏だった。そのためハヤトは一瞬返事が遅れた。
「いや・・・だからさ。足邪魔じゃないかなって。私家ではいつも裸足で過ごしてるからさ。それで足伸ばして座るの癖なの。ママにはお行儀悪いって言われるんだけど・・・。」
「い、いや。ぜんぜん大丈夫。まぁもう飯食ったし、くつろいだら?」
ハヤトは足を引っ込めって欲しくなかった。ずっとこのままの姿勢で座っていて欲しかった。むしろ足の裏に触れてみたかった。ナギサの少し恥じらいだ表情もとてもかわいかったのだ。
「よかった。ありがとう!」
そのままの姿勢でナギサは会話を続けた。ハヤトもあぐらをかいたまま、手を後ろに伸ばし、畳に手をついた。自分の手に寄りかかるように座った。くつろぐためではなく、ナギサの足の裏が見えやすくなるようにするためだ。
ナギサはたまに、足の指を器用に動かした。グー、パー、グー、パーと。スニーカーとかを好むのだろうか。外反母趾の気配が全くない。
(さわってみたい・・・。)
ハヤトはずっと思っていた。たぶんくすぐっても怒りはしないだろう。頭の中でシーソーゲームがあった。くすぐってみたいけど、ひっこめられるのも嫌だ。でもくすぐってみたい。考えないように、会話に集中しようと思うのだが、会話が頭に入らなかった。
「では、そろそろ部屋に戻ってください。」
引率の准教授の声でハヤトは現実に戻った。そして手を伸ばしてみた。
しかしそこにはもうナギサの足の裏はなかった。ナギサは一度体育座りのような姿勢になり、そのまま立ち上がった。
「じゃあ女子メンツは、お風呂も時間かかるのでお先に失礼します!みんな楽しかったよ!今度このメンバーで遊ぼうね!」
そういってナギサはほかの女子メンバーと一緒に部屋に戻っていった。
ハヤトは座ったまま、歩くときに見えるナギサの足の裏を目で追っていた。
