元の数が0でも、
足し算の答えはプラスとなり得るが
掛け算の答えは何をかけようが0にしか成り得ない。
「塾に通っていても、一向に成績が上がらない」
というお母さんの声を耳にすることがあります。
うちの塾生さんたちは、2回も定期テストを受ければ結果が出るので、実際お預かりしている生徒さんのお母さんたちからこのセリフを聞くことはないのですが…
この原因はどこにあるのでしょう。
ひとことで言うと、
足し算の学習をする前に、
掛け算をしようとしている(させている)
ことだと思います。
例えば、ある教科で50点しか取る実力のない生徒に、70点を目標に指導するとします。
きちんと結果を出してあげられる塾は、その生徒の「50点」の中身をしっかり分析し、把握します。
数学であれば、
・計算の基礎は出来ているか
・文章題などの応用力はどこまで身についているか
・普段の問題演習において、ケアレスミスなどの頻度は多くないか
など、その生徒が50点しか取れない、もしくは50点しっかり取れることの意味を確認するのです。
その上で、「足し算」の指導を行います。
・基礎が出来ていなければ、まずとことん正しい計算のやり方を指導する。
・計算は完璧に近いが、応用になるとさっぱり、というのであれば、計算問題は確認にとどめ、応用問題をよりわかりやすく指導していく。
・ケアレスミスが多い生徒には、指導も大切だが、ひとつひとつの問題に取り組む姿勢から見つめることが大切。どんなタイミング・どんな理由で、同じようなミスをしてしまうのかを検証し、指導にあたる。
その生徒なりに積み上げてきたものはしっかり認めつつ、不足している部分を埋めたり、正しく行えていない部分を直す手伝いをすることで、現状の学力にプラスとなる要素を積み上げていくのです。
そうすることで、ベースとなる「50点」から、5点でも10点でも上積みする、
そして、積み上げられて上がった実力をまた新たなベースとして、指導を行っていく。
これが「足し算」の指導法です。
成績が全く上がらない指導は、えてして、
生徒の実力の把握にあまり重きを置かず、自信の指導法に依存した、
掛け算の指導…それも、「ゼロの掛け算」による指導になっている場合が多いです。
どういうことかと言うと…
50点取る実力のある生徒に、「80点取れる」指導を試みます。
指導内容は確かに素晴らしいものがあるのかもしれませんが、個々の実力の把握なしに行われる、半ば「押し売り」「詰め込み」の指導は、結局学校の授業で理解度が50%の生徒にとっては、同じような授業を2回受けているのと変わらないことになります。
この場合、
・学校の授業で50%理解
・塾での指導で50%理解
これが100%にならないことは想像できますね。
その生徒の理解力が50%である以上、学校で70%狙いの授業を受け、
塾で80%狙いの指導を受けてたとしても、50%を超える理解度を達成することは極めて難しいのです。
結局、その生徒にとっては全く上積みとならない指導を何倍しようが、何乗しようが、もともとのその指導によるプラス要素がゼロなのであれば、掛け算の答えはゼロにしかならず、成績も上がらないのです。
これが、「ゼロの掛け算」の指導です。
問題なのは、こういった場合の対応です。
同じ塾に通っている別の生徒さんは、きちんと結果が出ているのに、うちの子は…となると、
ついつい、わが子の能力や意識を疑ったり、塾や講師との「相性」の問題と考えがちなのですが、
成績が上がらないお子さんに問題があったり、相性の問題ではなく、
「塾の指導・姿勢」そのものを疑った方がいいと思うのです。
面談を希望して、お子さんの実力をどれくらい細かく把握して、具体策を考えているか、とか、成績の上がらない理由として「宿題をやってこない」とか、「家庭学習が不足している」など、お子さんにばかり原因を求めていないかなど、しっかり確認されると良いと思います。
残念ですが、あまり満足いかない回答しか得られない場合、その塾にこのまま通い続けても成果を期待するのは難しいと言えるでしょう。
お子さんの学力向上に必要な、ベースとなる実力の把握を行う意識が乏しいと言わざるを得ないからです。
連日、夏期講習のチラシがたくさん折り込みに入ってきます。
中には、「ゼロの掛け算」にしかならないような講習への参加を促す広告も、ないとは言えません。
足し算で結果が現れれば、その後費やす時間は掛け算の答えのように何倍にも何乗にもなって上積みされていく可能性を持ってきます。
掛けられる、元の数字がゼロではなくなるからです。
お子さんにとって、指導の結果がきちんと「足し算」の答えとなって現れるのか、良く見極めて、貴重な時間とお金を有効に使うことが大切だと思います。