少し写真が分かってきた頃、いつか一眼を手にしたいと思ってくれた人向けに、自分なりの解釈で入門書(HELLO! DIGI-ICHI!)を書いたことがあった。
それには載せていなかったが、カメラのモードの使い分けについても記そうと思う。
今回は、Av(絞り優先)モード

例えば、Canon製のカメラの場合、本体上部にダイヤルがあって、「A」とか「P」とか書かれたダイヤルがある。
この中に「Av」モードというものがある。
絞り優先で撮りたいときはダイヤルをここに合わせる。

 


 

Avモードでは、絞りとISO感度を撮影者が決める。
(シャッタースピードはカメラが自動的に決める)
同じ条件の下で絞りを開放(F値を小さく)すると「ボケを強くする」ことができ、絞る(F値を大きくする)と「全体をクッキリ」させることができる。

尚、ボケが出る範囲を「被写界深度」と呼ぶ。



背景がボケる(F5.0)

背景がクッキリ(F32)
 

一眼の特徴の一つにこの「ボケ」が挙げられる。
それが楽しくて、長らく開放気味に撮っていた。

 

背景のボケが効いている(F4)

 

一方、手前と背景両方とも強調(協調?)させたい場合は、絞り気味にした方がいい。

 

手前のモニュメントから橋の向こうまでクッキリ(F22)

 

尚、同じ条件下では、F値がボケに関わってくるという話をしたが、他にも、焦点距離(望遠ほどボケる)や、カメラ~被写体~背景の距離関係が変わるとこれらも効いてくる。

というか、これらの影響の方が大きい気がする。


設定できる絞り(F値)の範囲は、カメラもそうだが、レンズによるものが大きい。
F値が小さくできるものの方が当然ながらボケが大きくなる。
また、同じ条件の下ではこういったレンズの方が明るく撮影できるので、「明るいレンズ」とも呼ばれる。

いくつかレンズを揃えていく中で、明るめのレンズも手にした。
さぁ、徹底的にボカすぞと思って、撮りまくっていたが、それにも背反があった。



 

これはネモフィラを撮ったものだが、花の中心(めしべ)にはピントがあっているものの、花びらの一部がボケてしまっている。
花という主体を撮ったつもりが、焦点が合っていない部分が出来てしまった。
当たり前だが、やりすぎは禁物である。
このことがあってから、絞り(F値)にも気を遣うようになってきた。

逆に絞りすぎることでの弊害もある。
シャッターの開きが小さい分だけ、取り込める光の量が減るので、カメラが決めてくれるシャッタースピードが必然的に遅くなる。
つまり、手ブレの原因となる。
明るいところでは気にならないかもしれないが、そうでない場合は、絞りとシャッタースピードの関係を考慮する必要がある。