動画と静止画と言われると、最近は動画の方をよく目にする。
静止画よりも何十倍、何百倍もの情報を一度に私たちに与えてくれる。
私は、今は静止画(写真)メインだが、元々は動画をよく撮っていた。
小さいころから、祖父や父母が撮った8mmフィルムをよく飽きないなと思われるほど見ていた。
まだ、小学校低学年だったのに、いっちょまえに8mmの映写機を触っていた。
そんな自分が「見る」側から「撮る」側に回ったのが、中学校に入るかどうかの頃。
両親が購入したVHS-C規格(VHSテープのちっさいやつ)のビデオカメラである。
8mmフィルムは一度撮って現像したら使えなくなるし、撮影可能時間も長くはなく、なかなか子供には扱わせてもらえなかった。
何より現像代が高かった。
当時まだ、VHS-Cのテープも安くはなかったが、現像代がかからないのと、再利用(上書き)もできることで、扱わせてもらうためのハードルは低くなった。
残念ながら、当時どんなものを撮っていたか覚えていないが、両親以上に触っていた記憶はある。
中学校の時、親戚が結婚式を挙げるというので、両親がこのビデオカメラで式の様子を撮ってきた。
当時、家にはパソコンがあり、「スーパーインポーズ」というパソコン画面をビデオの画像と合成できる機能が付いていた。
せっかくの機能なので、両親が撮ってきた映像に字幕を入れてみようと頑張った。
もちろん出来たのだが、当時のパソコンの性能なので、字幕の字体がカクカクしていて、そのころの出来の悪いAVみたいになってしまった。
当時、まだ子供がAVを簡単にみられる時代ではなかったため、(今はどうなんだろう?)そんなこととは知らず、両親を通して親戚に渡してしまったという、後で思い返すと苦い思い出がある。
その後、あまりビデオ撮影することはなくなったが、就職して最初の年に従妹が結婚するというので、出席することとなった。
両親からは、ぜひいいのを撮ってくれと、ビデオカメラの選定も含めて頼まれた。
この頃になると、個人でもパソコンを持っていることが当たり前になってきていて、ビデオカメラの映像をハードディスクに取り込み、専用のソフトで編集することもできるようになっていた。
そのためにどんな規格のカメラが必要か、パソコンに取り込むのにどういう周辺機器がいるのかを時間も忘れて調べまわった。
ビデオはSONY製のデジタルハンディカム、ビデオからパソコンにデータを転送するためのIEEE1394のボード、Video Studioというビデオ編集ソフト、それから4GBのハードディスクを揃えた。
当時、4GBといえば結構容量の多い方だったが、長時間の映像になるとこれでも足りなくなった。
Video Studioの編集機能にはいろいろあり、字幕を入れるだけではなく、シーンが切り変わるときに様々な効果が入れられるなど、これまでには体験したことがない様なたくさんのことができるようになった。
今でも、このソフトの後継版を利用している。
ただ、その後、毎日が忙しくなり、それほど撮影に費やせる時間は多くなくなった。
しかし、ある時、ニュージーランドに行くことになり、さぁ、ビデオカメラを持っていこうと意気込んだ。
見る景色、感じる空気、ガイドさんのお話、全部珍しくてずっとカメラを回していた。
結果、60分のテープ7,8本にもなっただろうか。
今でも編集しないままである。
時代がちょっとだけ進んで、先のビデオカメラの調子が不安定になってきたこともあって、買い替えることにした。
当時まだハイビジョンが珍しかったころで、対応する一般向けビデオカメラも少しずつ出だしたくらいであった。
でも、せっかくなので、奮発してハイビジョン対応のをと購入した。
綺麗な映像が撮れ、大変満足だった。
このカメラは、まだ当時のデジタルビデオの規格の1つであるDVのテープ式だった。
オーディオのカセットテープ同様、見たい場面を出すには、早送り、巻き戻しが必要だったり、取り込みの時も、テープを延々と回さなければならなかった。
それにテープ自体が劣化することもあった。
その後、ビデオカメラもテープ式からハードディスク式を経て、メモリー記録(メモリースティック、SDカードなど)式へと変わってきた。
映像がそのままファイルとして記録されてるので、データ取り込みの際など取り扱いがとてもしやすく、もうこの頃になると、パソコン側のハードディスクも大容量化されてきていたので、そういったカメラにも対応できるようになっていた。
そこにきて、デジタルビデオカメラ自体の価格もかなり下がっており、気軽に手にすることができるようになった。
もう、そんなに動画を撮ることはないだろうと思いながらも、3万円以下という価格からVictorのものを1台購入した。
しかし、軽すぎて持っている手が安定しないため、それがブレとして映像に影響したり、やはりお値段なりの絵だった。
ただ、このレベルの機能を持つものが、この価格で買えることに驚いた。
その後、スマホがカメラに取って変わり、今ではそれが当たり前である。
そんなある時、動画の存在に対して疑問を持ち始めた。
確かに動画はたくさんの情報を一度に与えてくれるが、静止画ってどうなんだろう?
静止画を見るということは、美術作品を見るように、そこに込められた思いを考えたり感じとったりする過程があるのかも。
それを自分で表現してみたい。(このせいで、後で大変な思いをするのだが…)
私が一眼レフを手にすることになったのには、こういった経緯があるからである。