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ある木版画家の気まぐれ日記

木版画家・吉田秀司のブログです。
板目木版と木口木版の2つの技法で作品を制作しています。
作品の話以外にも、たまに好きな映画のことも書いています。
取り扱い画廊 養清堂画廊(銀座)



タイトル : 泳ぐ夢

技法 : 板目木版


この作品は以前彫った版木で処分しても良いものを探していた時に出てきた版木がインスピレーションの元です。


そこには扇形の中に市松模様が彫られていたのですが、それを見た途端に魚竜のような生き物が泳いでいる様子が見えました。

市松模様とは全く関係ないのですが、見えたものは見えたので、もう制作するしかないです。


ご覧のとおり、この生き物は下に行くほど薄く不鮮明になるように刷っています。

この表現のアイディアは30年ほど前からあったのですが、当時はこれに合うイメージが無く、今回やっと試すことが出来ました。




刷りはけっこう簡単でして、一度インクを乗せて刷ったら、そのまま紙をずらして刷る作業を繰り返すだけです。

エスキースを描く前に頭の中で何度も刷りのシミュレーションをして、ばれんは2種(本ばれんとばれん芯が木綿のもの)使うことにしました。また各段階ごとに刷り圧も変えています。




版木はひとつだけで、魚竜のパートとダイバーとモノグラムのパートに分けて刷りました。

それぞれ刷る時に、不要な部分はマットフィルムでマスキングしました。