どれくらい需要があるかは分からないけど、約2年ぶりに更新しておこう(書き溜めた内容がほとんどだが)
音楽の方向性として「激しい」「美しい」がテーマなのは、10年くらい変わっていないし、今後も変わらない。平均して33歳くらいから新たな音楽を探さなくなる傾向にある、という研究結果もあるらしいが、私には当てはまらないかなと思う。注目対象のジャンルが今後も増えるかはともかく、それぞれの時代の音楽を探し、聴き続けることで得られる気づき、別分野に生かせるインスピレーションはまだまだある。

Somniac One - Mechanics [Meta4 Recordings]

Speedcoreのような集中的な打ち込みの合間にAmbientのような穏やかさが美しい。どうやら女性のようですね、Industrialでは珍しくはないですが(他にMiss K8やMiss Hysteriaなど)。引き続き頑張ってほしい。

Angerfist & Ophidian - Nothing Is Real [Masters Of Hardcore]

ともに2017年来日してプレイしたAngerfistとOphidianが、Angerfistのアルバムでコラボ。お互いの良さが出てるねぇ。

Cyberstruct & Embrionyc - There's A Light On The Horizon [Traumatic]

Traumaticレーベルのマスタリングを行っているEmbrionycが、(現時点で唯一)楽曲にも参加したもの(だったけど最近は参加してるみたい)。

Shatterling - Starfallen [Traumatic]

2年前から注目対象になったShatterling。Industrialを感じさせる部分は少ないが、コーラス好きには堪らない。元々幅広い作風の人のようですな。

Demanufacturer - Volcano [Agnost1k]

3年前から好きになったDemanufucturer。特徴的な重くて遅いキックの殴打。Hardcoreというのは元々がTechno。それを少し感じさせるようなシンプルな展開がいい。

Mystake - Let Me Cry (Embrionyc Remix) [BlackHoe]

上記Agnost1kのアルバムにもEmbrionycが参加してるけど、たまに?なレーベルから曲出してくるんよな(いいけど)。静かなメロディの後のTechnoを意識したIndustrial。原曲は知らないが、いいRemixだと思う。

Strange Arrival - The Elephants Foot [H.P.G. Detonator]

XIV: Xclusive Industrial Variations に収録。全体的にはミニマルな展開だが、ちょい重めの小気味いいキックに変化があるのが特徴。

The Outside Agency - Godspeed (Hecq Remix) [Ad Noiseam]

リミックスアルバムConversionsに収録。少し静かな後半もまた聴き応えがある。
RemixerであるHecqを知るきっかけは、Tympanik Audioのコンピレーションアルバム、EMシリーズ内の曲だった。Mazdaの海外向けCM等を含め、ジャンルを問わず活躍しているようだ。


Substanced - Oneiroi) [Stamina Records]

Freeform界隈の動向をば。2015年頃からリリースされるのでは、と言われ続けたSubstancedのアルバムFutureformが今年出ました。この曲はその中の一つ。エナジティックな初志貫徹、からのアタックが完璧。

Cyrez - Downshifter [FINRG]

最近はFINRGからも有料リリースされるようになった。この曲は16 Years of FINRGってアルバムから。Epyx & Cyrezが解散した後も出してくれるのは嬉しい。

Seileen - Lamento della Sirena (GULD Remix) [Dark Dimension]

SeilaとSiSeNのダークエレクトロユニットSeileenが原曲。GULDのアレンジでHardNRGになって、さらに中世ヨーロッパやゴシックな世界を思わせる、あやしい曲になっている。

DJ Eclipse - Ultra World 5 [Bonkerz]

Freeformの草創期である20年前の曲。Epilimに共通するような音だが、シンプルでエナジティックな攻めがいい。ちなみにBetwixt & Betweenは、この曲を元にUltraworld 6を作っている。

Johann Stone - Manic Impressive [Tech Maniac]
Robbie Van Doe - Deception (Johann Stone Remix) [Discover Dark]

以前にも紹介したJohann Stoneの関与した曲。1曲目は6年前くらいの曲、この頃の方がTech Tranceが豊作で好み。特にこの曲はピッチコントロールが絶妙にいい。
2曲目は3年前くらいのRemix作品。Remixというと自分なりの独自性を原曲に被せがち、これも盛り上がりにかかると思いきや…。オリジナルもRemixも作風が一辺倒にならないところが素晴らしい。

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ターニングポイントになった曲シリーズ。

以前紹介したLab-4を知った後は、彼らの曲を文字通り「買いあさった」。
当時(2003年ごろ)はDiscogsやAmazon, Paypalなどのサービスがなかったから、インターネットでアルバムの内容をひたすら調べて、購入方法を探すしかなかった。学生の身の上、クレジットカードを持ってなかったので、現地に小切手を送付するという手段でなんとかアルバムを購入したのは、今ではいい思い出。

インターネットで調べる中で、むかーし紹介したインターネットラジオdi.fmを知った。Tidy.comというUK Hard Trance最大手のレーベルのサイトを知り、アルバムを試聴しまくった。そんな折、UK Hardcoreと呼ばれるジャンルのこの曲に出会うことになる。
Dougal & Gammer - Fires In The Sky (Frisky & Hujib remix) [Resist Music]


その後購入した、Hardcore Heavenというコンピレーションアルバムも私に多大な影響を与えた(当時はHMVに輸入代行してもらっていた)。ミックスに参加していたBrisk & Ham率いるNext GenerationやBlatant Beatsというレーベル、Kevin Energy率いるNu Energyというレーベル、そしてFINRGレーベルを知ったのもこれがきっかけだ。

Nomic & Pain on Creation - Make Me Real [FINRG Hard, Camel]

他の楽曲と比して、決して明るくないエナジティックな作風に惹かれた。このアルバムのリリース元Resist Musicの前身がUK Hardcoreで有名なBonkersシリーズを出したReactだったこと、FINRGはLab-4やProteusの影響を受けていること、GULDやBetwixt & BetweenなどFINRGから影響を受けている人が日本にもいるということは後々知ることになる…

Engineerとは水のようなものだ。実際、約67%は水でできているようだ(笑)
企業やプロジェクトという可燃物が発火点を超えて火種にならないようにするには、よく冷えた水が必要だ。しかし、並行して熱源を認識し取り除かなければ、やがて水はなくなり炎上は免れなくなる。

 

水のような性質を生かすにはどうすればいいか。いや、生かすのではなくて生きるのだ。自分の技術力をEngineとして生きていくのがEngineer-ing。

我々Engineerの水(Engine)は、次第に温度が上がり苔生すものだということも肝に銘じておかねばなるまい。

 

評価されようとして、ついつい受け身の考え方になっていた…まだ半生だな。ただ、気付いて良かった。

 

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最近大事にしている言葉の一つに、「企働」がある。

人+止→企

人+動→働

漢字の成り立ちからして、対極的な両者。

「くわだてる(元はくわだつ(翹))」には、「(遠くを見ようと)つまだてる」「ぬきんでる」という意味がある。また、「はたらく」は、はたはたと動き回るさまを指す。「働」を「千里の人力」と解釈すると…。

 

今年は、二十年余りを企てる年にする。

千里の道も一歩から。

まだ2ヶ月くらいしか空いてないけど、おなかは空いたぞ....じゃなくって、
別にいいんだ、日記だから、薄荷じゃなくって。今日もいいスベり出しだな。

Enzyme X - Dissonant Poetry [Enzyme X]
Enzyme X - Nathaniel [Enzyme X]
前回と同様、Enzyme Xの中で作者がOphidianのものから2曲。1曲目は、後にEnzyme VIPからオールスターなRemixがリリースされているが、個人的にはオリジナルが一番いいと思う。2曲目は、ノイズの乗った激しいDrum'n BassとコーラスやMCが効果的に使われていて好きな類のやつだ。





Strange Arrival - Technomancy [LoneHz]
Strange Arrival - Decompression Chamber [Noisj.nl LTD]
Fracture 4率いるLoveHzが取り上げたStrange Arrivalから2曲。メインはHardcoreをつくる人のようだが、AmbientとBreakbeatのテクスチャに投影することで、少し変わった表現になっている。リリースはまだ少ないが、Noisj系が先に取り上げるなど今後が楽しみだ。





Johann Stone - Spitfire [Tech Maniac]
Johann Stone - Yggdrasil [Tytanium]
Stanaが率いていたTech Maniacから知ったJohann Stone。Stanaと比べてHardDance、EDMやHardstyleの要素少なめなのが好みなポイント。元々Tranceがベースであるようだが、上記の2曲はHard TranceともTech Tranceとも言えるかもしれない。
Hard Tranceが持ち合わせている伝統的な形式に、これまで扱わなかった硬い音や不連続的なリズムを用いてTechnicalな先鋭的要素を含ませている。もっとも先鋭という言葉通り、ジャンルの端あるいは硲に位置するものにとって、ジャンル分けという中心を議論する行為は意味をなさないのだが。




Greg Peaks - Technician [Tesla Tracks]
アルバムHeat, Light, Soundに収録のFreeform。Tesla TracksはGreg Peaks自身のレーベル。この曲に関しては、DrumやAcid, MCが効いていて、曲構成としても好きなほうだ。

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恒例になってきた、ターニングポイントになった曲シリーズ。



Ozaka Oz - Real Nightmare
Lab-4 - Candyman
Ozaka OzはYojiの変名(DJ Mag Top100内にいた頃は、Yoji Biomehanika名義)。CyberTranceでRemix等が収録されているつながりでGreatest Worksっていうベストアルバムを買ったのが、Hard House, Hard Tranceへの入り口だった。思えば、この曲の少し悲しげな音を好んでいたあたり、Freeformに通ずるところがあったんだろう。
Hellhouseを当時唱えていたYojiが推薦したLab-4。彼らのHard Houseにどハマりしたきっかけが、Candymanだった。他にもPure KaosやDreamland等の名曲があるので興味がある人はぜひ。
これだけいろんな曲聴いてたら、時間が経つのを早く感じるのも納得だ。さて、久々の(当ブログでは恒例の)曲紹介。

Ryoji Ikeda - Data.Flex + Data.Reflex [Raster-Noton]
 前回に引き続き池田亮司。アルバムDataplexの中で連続している2曲。何枚かアルバムを聴いた中では、彼の作品の中では一番聴きやすい部類に入る。




Enzyme X - Sideburn [Enzyme X]
Enzyme Xは、Enzymeレーベルの全メンバーを指す。曲を今までの名義でリリースしないパターンの場合、著作権が誰にあるかを見ながら探すことになる。
この曲はConrad Hoyer (Ophidian)が作曲しているのだが、ロックンロールとガバキックを合わせているようだ。ピアノは自力なのかな...。Lenny Dee - Forgotten Moment (Ophidian Remix)もガバキックをクラシックのメロディに融け込ませていた…この人の発想は本当に面白い。



Tha Playah - On The Edge [Neophyte]
以前紹介したOphidian & Tha Playah - Illusionsっぽい展開の曲。盛り上がるところで使われてるキックやリズムはもちろん違うけど。まさか、Neophyteを紹介するのがはじめてかも。ハードコアテクノ自体はガバキックのような音はあれど、もっと取っ付きやすい曲が多いのでお間違えなきよう。



Sei2ure - The Future Is Digital [The Third Movement]
Sei2ureの新作ですね。静かな音の流れから、ちょっと変わったリズム、強烈なノイズとキックが彼らしい。前作のSacred Musicもこのレーベルからリリースしているようで。



Biomek feat. Embrionyc - Our Night [Disclosure]
レーベルTraumaticを中心とした楽曲のマスタリングが増えているEmbrionyc。ドクロ繋がりで(?)何曲か共同での楽曲を出しているようだ。ノスタルジックな(というか独特の雰囲気のある)Doomcore+Techno。



Substanced - Rise From The Darkness [Finrg]
Substanced - Boneに収録。Boneの4曲のうち1曲は無料でSoundcloudで配布されている。お財布には厳しいが、有料化していっていいと思う…というのは前も語ったとおり。Subi譲りのリズムも出しつつ、HardNRGな音とFreeformな音が往来して、激しいことになっている。

Dana - Back In Time [Danamite]
2000年代半ばのEarly Hardstyle(Hard DanceからHardstyleへの移行するなか)で、比較的クラシックな音使い。時折こういうHard TranceとかHard Danceに戻りたくなるな。The Third MovementのBandcampでも販売しているようだ。Danaは女性のHard Dance DJということを、HardstyleレーベルであるScantraxxを遡っているときに知ったんだな(さむ)。



川井憲次 - 空中庭園 / フィールド
SFCゲームのサンサーラ・ナーガ2に使われた楽曲。監修が押井守で音楽が川井憲次というのは、今思えば錚々たる布陣だと思う。ゲームはシステムが独特で、進行スピードが遅く、ノーヒントで遊ぶのは少し難しいのだが、これらの源流にある考え方が確固としていて深みがある。「遊泳」など他の曲もおすすめ。




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最後に、ターニングポイントになった曲シリーズ。
Tranceにどっぷり浸かることになったのは、Tranceブームの黎明期に名曲が多くあったから。中でも何年もTranceのトップDJの座にいて、のちにEDMをプレイするようになったTiëstoは外せない存在だろう。アテネ五輪じゃ開会式DJやってるし。




音楽にせよビジネスにせよ、未来を予測するためには、まず人物史、企業史を知ったほうが良い。それは歴史が繰り返す性質を持つからだ。