マッチングアプリを使ったらマルチ商法目的の女性だった(と思う)

 

 

……

登場人物

★僕(ひで)

☆Nさん(大原櫻子似の女性、3人目のマッチング相手、美容講師兼メイクアップアーティスト)

目がつぶらな女性(Nさんとシェアハウスをしている)

☆Sさん(長身で細身の男性)

Yさん(塩顔中肉中背の男性)

眼鏡オタク男子

低身長グラマー女子

色白ギャル系女子

冴えないけど明るい男子

高身長前髪若干後退男

☆Hさん(理学療法士)

 

……

先月、彼女が欲しくなったから、マッチングアプリを始めたんだ。

僕は恥ずかしながら、今まで彼女出来たことない。

 

だから、マッチングアプリをはじめて、3人の女性とマッチングしたんだ

 

1人目の女性は金髪ロングヤンデレ風可愛め女子

2人目はサッカー部のマネージャーにいそうな雰囲気で場を盛り上げてくれそうな感じの女子。特別可愛いわけではないが、なんか惹かれる部分がある女子

 

この子たちと会う約束してとてつもなく緊張して、ドキドキして待ってたんだが、集合場所に着いた瞬間に連絡つかなくなってしまったんだ。

 

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1章 出会い

2章 もしかすると、もしかするかもしれない…

3章 最後まで馴染めなかったボーリング

4章 マルチ商法

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1章 出会い

 

3人目で、やっとアプリでマッチングした女性に会えた。

川崎市内の駅の改札で待っていると、

黒人シンガーがプリントされた古着のロンTにピッチリしたジョガーパンツ履いた大原櫻子似の女性だったんだ。名前はNさん

(うん!!!いい!!!)

 

そして、川崎市内のショッピングモールに向かって歩きながら、お仕事とか趣味について伺った。

「仕事はどういう仕事されていますか?」

と僕は聞くと、

「美容学校の講師をやっていて、生徒にメイクとか肌のケアとか教えてるよ!」

(へー、またまたそれは変わったお仕事されてるなぁ)

 

それから、僕たちは駅近くのショッピングモールにあるカフェで話すことにした。

「けっこう明るい方で安心しました。笑顔も素敵ですし」

僕は、恋愛経験ないことをバレたくないから、相手を褒めて、女の子に慣れてる感を出す。

「そうなんだよ!でも、昔は、ここまで明るくなかったんだ」

Nさんは言った。

(ウソだろ、今の明るくて笑顔が素敵な様子からは想像できない)

 

「私、昔は人の目を見て話せないし、喋るのも苦手だった。ずぅーと黙ってた、隅っこにいることが多かったな。でも、変わりたいなと思って“自分磨き”をするようになってから、人とも話せるようになったし、笑えるようになった」

Nさんは誇らしげに語った。

「僕も“自分磨き”してみたいなぁ。僕にもできる“自分磨き”あるかなぁ…」

恋愛経験なくて、今まで彼女が出来たことなかった僕は変わりたかった。

(“自分磨き”すれば、変われるかなぁ)

 

「そしたら、スキンケアとかしてみたら?今もかっこいいけど、てか、マッチングアプリの写真で見たよりも100倍かっこいいけど、もっとかっこよくなれると思うよ」

Nさんは言った。

(まじかぁ、俺ってかっこいいのか、100倍もかっこいいのかぁ、えへへ…よし“自分磨き”をしよう)

 

僕は“自分磨き”することにした。

「スキンケア教えてもらえたりします?」

僕はNさんに聞いた。

「じゃあ、私の家来なよ。スキンケア教えてあげるから」

(え、マッチングアプリで出会って、すぐに家に行けるのかぁ。相当心許されてるんだな。)

 

これは、もしかすると、もしかするかもしれない…

 

 

2章 もしかすると、もしかするかもしれない…

 

Nさんの住んでいるアパートの前で待ち合わせた。

「ひでくーん、元気ぃ?なんか雰囲気変わったね」

「え?そうですか」

僕は、前回はじめてあった時、前髪をかき上げてかっこいい感じを出していた。けれど、相手が年上の女性だから、かっこいいより、可愛げがある方がウケがいいと思って、今回は韓国風マッシュにしてきた。

そして、部屋に案内される。白を基調としたシンプルなお部屋で、テーブルとイスがぽつんと置いてあるリビングに案内された

(物少ないなぁ、他の部屋4部屋くらいあるけど気になるなぁ)

 

「あれ?」

リビングには別の女性もいた。目がつぶらな女性

「はじめまして、ゆっくりしてってね」

その女性は奥の部屋に入っていった。

「シェアハウスだったんですね?」

「そうなの、女3人くらいでここに住んでるんだ」

(なるほどそうだったんだ。これは、もしかすると、もしかしないんだろうなぁ…他に住民がいたら、そういうことができない)

僕は落ち込んでると、Nさんは僕をテーブルに座らせた。

「いまからスキンケアするね」

「お願いしまーす」

テーブルにはメイク用の大きな鏡があって、高そうな化粧品が並べて置いてあった。

「お肌に大事なのは、汚れを落とすことか保湿することか、どっちが大事だと思う?」

「うーん、汚れを落とすことですかねぇ」

「そう!汚れを落とさないと、水分が肌に入ってこないから、まずは汚れを落とすことが大事。ざっと説明すると、クレンジングで汚れ落としてから洗顔して、化粧水を肌に入れて美容液をつけて、最後にクリームで蓋をするんだ」

「なるほどですね」

僕は今までほとんどスキンケアしていなかったので、すごく勉強になった。

Nさんはイスに座っている僕の真後ろに立った。

「じゃあ、まずはクレンジングからやるね。椅子に浅く腰かけて、こっちに寄りかかってね」

「わかりました。じゃあ寄りかかります」

僕はイスに浅く腰かけて頭をNさんのほうに寄りかからせる。そしたら、後頭部に何かが当たった。

(これは…“おっぱい”だ)

 

僕は、Nさんの“おっぱい”に後頭部をくっつけながら、バレないように恥じらう。

そのとき無理矢理考え巡らせて、最終的には、美容講師が生徒にスキンケアを教える時は安定するから“おっぱい”で後頭部支えてるんだなと無理矢理納得した。

でも、クレンジングやっている時も、化粧水で保湿する時も、“おっぱい”が生生しく感じるほどの強さで押し付けらながらお顔を触られたので、

(もしかすると、もしかするな...)

 

スキンケアが終わると、肌が異様にモチモチしてたので、

「こ、これは赤ちゃんの肌になったみたい」

英明は言ったら、Nさん笑って

「そうでしょ、いいよねこの化粧品」

(にしても、おっぱいが頭から離れない。何だったんだろう。なぜ、あんなにおっぱいを押し付けられたんだ僕は)

 

気になっていると、Nさんはなにやら日用品のカタログを出してきた。

「今使った化粧品は、実は市販では買えなくて、一部の人しか買えないものなんだよ」

「え?そうなんですか」

「うん。実は市販の化粧品はお肌との相性が悪いんだ。肌は弱酸性なんだけど、市販の化粧品はアルカリ性。中和しちゃうから肌にダメージが残るんだ。でも、このカタログの化粧品は天然由来成分が使われていて、肌との相性がいいからオススメ。ほら、ひでくんいつもより肌の調子いいでしょ」

「うん確かにいいです」

(なるほど。市販の化粧品を使ったことあったけど、肌によくなかったのか。)

 

そうすると、

「ちょっと友達呼んでて、後で来るからね」

そうすると、インターホンが鳴って、長身で細身の男性Sと中肉中背塩顔の男性Yが入ってきた

(お、男かぁ)

 

僕はがっかりした。

 

でも、男性Sと男性Yは、けっこう気さくで自信に満ち溢れてる。”自分磨き”に磨きがかかっているように思える。話も盛り上がった。

そうすると、

「こんど、家に泊まってかない」

男性Sは言った

(いや、僕は彼女作りたくてNさんと会ってたのに何で男の家に、なんか泊まらなきゃいけないんだよ)

 

「いつ空いてる?」

「あ、予定が詰まってていけないかもしれないです」

「じゃあさ、この日とかどう」

「うぅ…泊まるのは厳しいけど、遊びに行くくらいならできます」

僕は嫌だった。男の家に行くなんて、ただ彼女が欲しいだけなのに

 

その日はお開きになった。

 

3章 最後まで馴染めなかったボーリング

 

どうしても男性Sの家に行きたくなかった。男友達より彼女が欲しかったので…

そしてLINEで、

「すみません、行けなくなりました」

とSさんに連絡を送る。すると、すぐに

「じゃあ、明日空いてる?Nさんも来るんだけど、ボーリングやるから来なよ」

ボーリングなら、まあいいかと思い

「わかりました。行きます」

とLINEで送る。にしても、何だこの人達。やけに次の予定を入れたがる。一旦、距離を置きたいなと思ってもすぐにLINEが来る。

もう連絡来ないで欲しい。

 

ボーリング場に着くと、30人くらいの男女が集まってた。大学でいうオールラウンドサークルみたいな感じだ。

そうすると、低身長塩顔の男性がいきなり話しかけてきて、

「あれ?初めて?」

「そうです。はじめましてです」

「そっかよろしくね」

そしたら、眼鏡オタク男子や、低身長グラマー女子、色白ギャル系女子等々

そしたら冴えないけど明るい男子が話しかけてきた。

(みんな、変に明るいな)

 

何をしゃべっても褒めてくる。例えば、大学で演劇系サークルやってたことを話したら、

「えーすごい!!!!!!!」

ただ演劇をやってたこと言っただけなのに、こちらの予想以上の信じられないくらいの情緒で褒めてくる

(気持ち悪いなこの人たち…こんな情緒で褒めてくるのは、なにか裏がありそうだ..)

 

ボーリングは知らない人たち三人と組まされた。

ボーリング慣れてなかったからガーターの連続だったが、褒めてくる

「段々慣れてくるよ。良い投げ方だね」

始めに一本のピンを倒すと、周りの人たちが、食うように褒めてくる

「すごーい!一本倒せたんだ。こっからだね」

(なんでそんな褒めるんだ?ぼくは子どもか何かと思われてるのかなぁ)

 

だんだん慣れてきて、スペアを連続で取れるようになってくると、

「すげえな、ひでくん。ここまでこの短時間で上達する何て」

「まあ、調節したら当たるようになりました」

「調節?すごーい!!!」

どんどん周りの人に言いふらして、そのたびに信じられないくらいの情緒で褒められて僕は困惑する。

(帰りたい…)

 

この人たちには、もう馴染めないんだろうなぁ。

ボーリングの休憩時間に、先日家に泊まりに来てと誘ってきた男性Sが話しかけてきた。

「肌の調子はどう?」

「まあまあですかね」

「そっか。実は、Nさん昔はアトピーひどくて、ほらこの写真見てみて」

すると、アトピーで、肌色の部分がないほど肌を赤くしたNさんの写真を見せてきた

「え?あぁ!こんなにひどかったんですか。」

「そんなんだよ。でも、スキンケアをしっかりすることでいまのようなキレイさ保つことができてるんだよ。“自分磨き”って大事だよね」

「へえー。そうなんですね」

「そして、実は、Nさん、芸能人とかのメイクとかもやってて一回3万円くらいかかってるんだけど、ひでくんは友達だから無料でやってもらってるんだよ」

「え?まじですか」

「うん。“人との出会い“ってすごいよね。ひでくんはマッチングアプリでNさんに出会ったと思うんだけど、メイクアップアーティストの知り合いなんていないでしょ。そんな人と友達になれるなんて最高じゃない?」

「さ、最高です」

 

すると、Nさんが話しかけてきた、

「今日実は、トータルケア教えるんだけど、理学療法士の友達のHさんっていう人がいるから紹介するね。」

「わかりました。ありがとうございます。」

 

ボーリングは終わった。終わった後30人くらいでボーリング場の前にいて、みんなでワイワイしている。

眼鏡オタク男子が話しかけてきて

「君、人見知り?、まあなれるよすぐに」

「..はい」

低身長グラマー女が話しかけてきて

「ボーリング上手くなったね」

「…ありがとうございます」

高身長前髪若干後退男が

「また、ボーリングやろうな」

「…はい」

この人たちとは馴染めないな。ボーリングももうやりたくない。変に褒めて自尊心を傷つけられるから

まあ、でもNさんとは仲良くなりたいからこれからも会うか

ボーリング場を後にして、Nさんと最初に会った川崎市内駅近のカフェに向かった

 

4章 マルチ商法

「アニメとかみます?」

「僕のヒーローアカデミアとか観るよ」

「テレビとか観ます?」

「あんまみないかなぁ」

(…)

 

変だ。話が盛り上がらない。ただ、俺が質問してNさんが答えるだけ

「前使った化粧品いいですね」

「そうでしょ!!天然成分が…」「で、“自分磨き”のためには…」

変だ。化粧品の話とか“自分磨き”の話だと盛り上がる。雑談だと盛り上がらないのに…

というか、そういえば“自分磨き”ってなんだ。

 

カフェにつくと理学療法士のHさんがいた。芯がしっかりしていそうな女性。そばかすがうっすらと顔に浮かんでいる。

Nさんは僕の横に座って聞いて、向かい側にHさんが座って話す

「よろしくぅ」

「今日はトータルケア宜しくお願いします」

「おっけい!で、なんか体の悩みなんかない?」

「えっと、腰が痛いとかですかね」

「そっか。なるほどね。まあ理学療法士だから体の事詳しいから何でも聞いてね」

そしたら、Nさんの家で見たカタログ(この時気付いたが化粧品だけでなく日用品もカタログに載っている)と、ルーズリーフを出してきた。

 

「スクランブル交差点と君の部屋どっちが汚いと思う」

「うーん、スクランブル交差点!」

「実は、君の部屋の方が汚いんだ。寝ている間に埃を吸っちゃうの。スクランブル交差点は人や車が通ってるから埃なんかないから大丈夫だけど、自分の部屋に使う空気清浄機は市販の空気清浄機じゃだめなの、CADRマークがついてないと、C(クリーン)、A(空気、エアー)、D(デリバリー)、R(レイト)っていう意味なんだけど、市販のだとC、Aしかない、でもこのカタログだとD、Rある。D、Rないと埃は吸いきれないだ、CADR全部揃ったら病院の無菌室並みに空気がきれいになるよ」

「へぇーそうなんですね」

「肺は変えられないから、絶対使った方がいい」

(ん…?)

 

「あと、水は一日どのくらい飲む?」

「えっと、2Lくらいは飲むかなぁ」

「いいね。まあ、何を飲むかにもよるけど、で毎日2L水飲んだら何日後に体から出ると思う?」

「うーん、6時間」

「て、思うじゃん!実は、18日後に出るんだよ。体は36Lしか水を蓄えられない。飲んだものはすぐおしっことしてでなくて、新たに水を飲むことで過去に飲んだ水が押し出されておしっことしてでるんだ。となると、体の中に残っちゃうってことは、あまり変なものは飲まない方がいいってことなんだ」

「ま、そうですね」

「水は何飲んでる?」

「まあ、ペットボトルの水が多いです」

「実はペットボトルの内側には特殊なコーティングをされてて発がん物質が入っていて体に悪い。水道水も実は体に悪くて…」とHさんは饒舌に語ってて

そしたらNさんが準備したようにスマホの画像を見せてきた

「ほら、水道管の中こんなに汚くなってるんだよ。やだー汚い。からだに悪いよね。」

たしかに、水道管汚いな、ゴミが詰まってて、

「そんなときにこの浄水器を使えば、体にもいいし、コスパも10年間で70万円削減できるし、70万円あったら何する?」

「貯金かなぁ」

 

もう苦笑いするしかなかった。これはマルチ商法だ。不安を煽って日用品や化粧品会社の会員にさせて商品を買わせる。僕は生まれてからずっと恋愛経験なくて、ただ彼女が欲しかっただけなのに、自分たちが儲かるからって、僕の恋心を利用して会員にさせようとしていた。

今思えば、Nさん家で僕の頭に胸を押し付けたのも押し付けたのも戦略の内だったんだな。僕は見事にホイホイと釣られてしまった。

 

それ以降NさんとはLINEをブロックして

もう二度とマッチングアプリをやらないと、心に決める。

はあ、いつ彼女出来るんだろう…