「何もありませんが」
日本語の最大の特徴は,敬語,とりわけ謙譲語が豊かなことだと思います。
謙譲語は,謙(へりくだ)る言葉ということですが,敬語の中では一番使い方が難しいような気がします。謙り加減が難しいからです
■「粗末なものですが」
日本人は,お客さんを食事でもてなす時,どうしても謙譲せずにはいられないようです。
食事を勧める時,何らかの謙譲語を使う方が圧倒的に多いことからも,見て取れます
一番多いのは,「粗末なものですが」と言って勧める方です。
この場合,注意が必要なのは,お客さんが見て「粗末でないもの」を出す必要があると言うことです
本当に,「粗末なもの」を出してしまっては,謙譲になりません。
かと言って,あまり豪華なものを出すと,「粗末なものですが」と言う言葉がわざとらしく聞こえますので,その辺りの料理のグレードの微妙なさじ加減が難しいですね
■「お口に合わないでしょうが」
次に多いのが,「お口に合わないでしょうが」です。
これもやはり,本当に「口に合わない」ものを出してしまうと謙譲になりませんので,注意が必要です
例えば,地元の特産品で,その地域でのみ愛好者が多い食べ物などを出す時は気をつけましょう。
信州へ行くと「蜂の子」が食用で売られていますが,残念ながら私は苦手です。これを,「お口に合わないでしょうが」と言って出されると,私は心の中で「はい,合いません」と言わざるを得ません(愛好家の方,すいません)
■「何もありませんが」
で,究極の謙譲は,「何もありませんが」です
主人「何もありませんが,どうぞお召し上がりください。」
お客「いえいえ,遠慮なくいただきます。」
外国人の方が聞いたら,訳が分からない会話だと思いませんか
