歌
歌を口ずさんでみる。自分が好きだった歌。若き日々が蘇ってくる。世の中に埋もれ、ただ朽ち果てていく人生に抗いたかった。自分が飛躍できる場所を探し、求めた。そんな場所など無い。静かに朽ちるのを待つのも人の生なのだと思い定めようとした時もある。しかし心の底で語り掛けてくる声があった。「このままでいいのか。名もなく果てるためだけに、自分は生まれてきたのか」時に痛切に、時に諦念を混じえ、自分に問いかけてきた。何度も負けた。惨めさや屈辱を味わってきた。それでも、自分に語り掛けてくる声。「立て。歩け。駆けろ。力の限り生きろ」まだ歩けと言うのか…。疲れたと言うくらい良いだろう?歌を口ずさむ。遠い日を懐かしく想う。あまりにも遠すぎる日々を。