戦争は人の生き死にだけの問題ではなく、能力をどぶに捨て良いものをいつくしみたいという人の心を壊すんですよ(本文より)
大正時代、そっくりな双子の男女が入れ替わり、男子しか入れない美術学校へ、女子しか入れない裁縫学校へ通う。
男子は20歳になると、徴兵検査を経て戦争に、女子はまだ職業夫人など理解もない時代。
女のユリは図案で、男の惺(さとる)は裁縫で、才能を発揮する。
悲しいのは、時代である。新しいものにチャレンジできる時代でありながら、それらに才能を発揮できる人がいるにも関わらず、戦争という、国の決まりというものに、逆らえず、夢を、そして未来を捧げるのだ。
この時代の人は、やはり現代よりも、強く勇気があるように思う。いろいろな選択肢のある現代と違って、何かを決断しながら生きていかなければならない。
男と女の関わり方も厳しい時代。
一見、入れ替わりでドキドキな物語かとおもいきや、100余年前には実際に存在した時代の切ない物語だった。

