終戦記念日近くになると、よく戦争の映画やドラマをテレビで放送する。特攻隊、徴兵、婦人部隊…。日本国民は、必死に戦った。誰の頭の中にも、日本人の悲しく切なく悲惨な状況があるだろう。


さて、この「あの日、パナマホテルで」は、主人公の中国系アメリカ人のヘンリーと、日系アメリカ人のケイコを中心としたアメリカワシントン州のシアトルにある、「日本町」と「チャイナタウン」での物語である。

アメリカ側のしかも、そこに住んでいる日系や中国系のアメリカ人が、いかに第二次世界大戦中を過ごしていたのか、私はこの本で、初めて知ることになる。


ケイコは「私はアメリカ人」という。でも、周りは「ジャップ」と差別の目で見る。ヘンリーも「自分はアメリカ人」と思っているが、父親からは、「中国人だ」と言われ、白人の同級生からは、やはり「ジャップ」「ジャップの友達」と偏見の目で見られる。そうした中でヘンリーとケイコは仲良くなり、恋心を抱くようになる。しかし、ヘンリーの親は「日本人の血を引く娘はだめだ」と猛反対する。


そして、パールハーバーが攻撃され、ケイコたち日系アメリカ人は、強制収容所に送られてしまうのだ。


この題にもある「パナマホテル」には、今でも強制収容された日系アメリカ人の荷物が、地下室に所狭しと並んでいる。この歴史を、事実を知ってもらうべく、展示されているのだ。

実際、戦争が始まる前には、「日本町」は栄えていた。平和に暮らしていられたのだ。


切なく悲しく残酷な歴史と、この時代に翻弄された幼い恋の物語。涙なくしては、読むことができない。

勇敢にケイコを守ろうと必死で立ち向かう13歳のヘンリーの行動も読み応えのあるストーリーである。