明治時代と現代はどこか似たところがある。
「頑張れば成功する」(通俗道徳)という思考法がはびこり、そのため不安な人が自分たちで作った仕組みに囚われる。現代も同じような思考がはびこる。
明治時代といえば、西洋文化が入ってきて、きらびやかな世界しか見ていなかったが、生きづらい時代だったことを知った。
貧困に厳しい時代で、「通俗道徳」と呼ばれる「努力しない人が貧困である」という考え方の中、努力しても裕福にはなれないのに、ひたすら努力をする人々。
女を売買する、主(あるじ)と工場との契約で働かされる女、娘。
前回、二葉亭四迷の「浮雲」で文三が、「能力主義の入口でつまづいた人」と分析したが、「通俗道徳」の犠牲者といえるだろう。
たった百数十年前の話である。
とても信じられないことが、行われていた。
目まぐるしい進化の中を、私の祖父母、父母、そして私も含めて、生きてきたのだと思うと感慨深い。
今、生きづらかった時代を生き、それぞれの思想を持って書かれた文学を、読めることがとてもありがく思う。

