先日出演した「王瀬の長者」を通して、舞台においてはとっさの反応力、集中力がいかに大切かを改めて感じました。
それについて考えていたら、何故か10年前の市民ミュージカルの稽古で体験した「ジップザップ」というゲームの事を思い出しました。

ジップザップ(ZipZap)とは、俳優養成のために行われる「シアターゲーム」と呼ばれる演劇ワークショップメソッドのひとつ。
参加者が円形になって隣の人またはそれ以外の人に手振りをつけながらリレー形式で言葉を回していくゲームの事です。

右隣の人に回す場合は、右手を右隣の人に差し出し「ジップ」と言います。
左隣の人に回す場合は、左手を左隣の人に差し出し「ザップ」と言います。
それ以外の人に回す場合は、両手をまっすぐその相手に差し出して「ボーイング」と言います。
(その際、誰を指すかをはっきり示すこと。適当な場所に指さない)
そして言葉を回された人はジップ、ザップ、ボーイングのいずれかをまた誰かに回していくのです。

これは、最初はゆっくりと行い、次第にスピードを上げていきます。
慣れてくると、「ボーイング」を指されたら差し出す手が切り替わる、つまり左手が「ジップ」になり右手が「ザップ」になるという通称「リバース」という技が入りました。(その後次の「ボーイング」が入ったらまた元に戻る。※下のリンク先の動画でもやってます)

最初はなかなかうまく行かなくて、良く間違っていたのですが、繰り返すうちに慣れてきて、どんどんスピードが速くなっていくのです。
これが毎回、すごく楽しかった。
単純なゲームのようで、実は非常に奥が深い。
「舞台に必要な集中力、反応力、テンションを養う効果がある」と当時教えられました。
確かに、もし自分が急に次の台詞を忘れてしまった時、或いは相手が台詞を忘れた時、そして本番中に不測の事態が起きた場合、いかに瞬時に気持ちを切り替えて対応出来るか・・・その対応力、反射神経が俳優には必要。
この「ジップザップ」を楽しく繰り返すことで、キャストの皆さんの集中力、反応力を鍛えるという目的もあったのだと思います。
10年前の市民ミュージカルの稽古は9ヶ月間行われましたが、そのうち最初の半年間、稽古の前半30分は、ひたすら「ジップザップ」の繰り返しでした。
後半は、みんな慣れてきたせいか、すごいスピードで回転していて、僕なんかついていくのが大変だった事を思い出します。

・・・ただ、僕が市民ミュージカルの後で出演した舞台の稽古では、この「ジップザップ」をやる機会はほとんどありませんでした。

ジップザップをやらなくなってもう何年も経ちますが、舞台での集中力を鍛える、というだけでなく、万が一の事態に瞬時に動けるような反応力を鍛えるためにも、このゲームは効果があるのではないだろうか?と改めて感じます。

歳を重ねて、反射神経も鈍ってきがちな今の自分。
そんな自分を改めて鍛え直すためにも、機会があればまたチャレンジしたいものです、「ジップザップ」に!
一緒にやりませんか?今度共演する皆さん!(っていつの話!?・・・)