私は、ショッピングモールでお菓子販売をしている。
その仕事の1つで試食配りがある。
以前の試食に対するイメージは、『食べたら買わなきゃいけない雰囲気』だった。
でも、今は違う。
というのも、買わない人が多いからだ。
「今度利用します」とか、人混みに紛れて行ってしまうのだ。
むしろ、試食を配った後の方が買ってくれる。
試食に群がっていたお客を見て、「賑わっている=繁盛している=美味しいお店」と思われるから買ってくれるのだ。
そんな試食配りだが、お客さんを見るのが面白い。
●世間話しが終わらないオバサン
●うんちくを語り出すオジサン
●先程から遠くでチラチラ伺って、徐々に近づいてくる人
●「食べたい」と泣いてせがむ子供とその親
●「もっとー」って泣く子に「スミマセン、もう1つ良いですか?」を繰り返す親
●「ちょっと試食あるわよー」って友達を連れてくる主婦
●試食が出てくるのをじっと待ち、食べたら無言で立ち去る常連
●一人で勝手に何個も食べちゃう人
●「美味しい!」って飛び跳ねる子
●「ん~、なんて濃厚なこのお味」と笑わせてくる男子学生
●「ここの好きなの」とオヤツ感覚で来るオバサン
●「他に無いの?コレ食べたい」とオーダーする人
●「飲み物ありませんか?」と聞く人
●何も言わずジーっと私を見る子供
●「買わないけど良いですか」って聞く学生
●手渡ししようとしたら「あーん」って食べようとする子供
●「食べさせて下さい。あーん」ってしてきた男子学生
●「両手塞がっているんで、あーん」って言ってきたオジサン
……などなど。
試食配りは、呼び込みと商品を配るだけじゃない。
商品説明や他の商品の紹介、提案、店の紹介もする。
そして、誘導したり、雰囲気悪くならないように上手くあしらったりする仕事なのだ。
食べなきゃどんなか分からない。
買わない人には、次回も来てもらえるような一言をいくつか用意している。
お客さんが居るから、お客さんが来るんだ。
だから気軽に利用しに来て欲しい。