案ずるより産むが易し―「できるかな?」より「やってみようか」―

子育てをしていると、心配事は次から次へと出てきます。

「ちゃんと友達と遊べるかな」
「学校で困らないかな」
「失敗したら傷つくんじゃないかな」
「このままで大丈夫なのかな」

特に、発達に特性のある子どもを育てていると、先のことが見えにくくて、親の不安が大きくなることもあります。

そんなときに思い出したいのが、

「案ずるより産むが易し」

ということわざです。

これは、あれこれ心配しているよりも、実際にやってみたら、思っていたほど難しくなかった……という意味。

もちろん、何も考えずに「とにかくやってみよう!」という話ではありません。

子どもの特性を知ったり、必要な支援を準備したりすることは、とても大切です。

でも、「失敗しないように」と考えすぎるあまり、子どもが経験する機会まで奪ってしまうことには、少し注意が必要です。

たとえば、初めて一人で買い物をするとき。

「お金を間違えたらどうしよう」
「店員さんと話せなかったらどうしよう」
「困ったときに助けを求められなかったらどうしよう」

親はいろいろな場面を想像します。

でも、実際にやってみたら――

意外とできるかもしれません。

途中で失敗するかもしれません。

困ってしまうかもしれません。

それでも、その経験の中で、

「ここはできた」
「これは難しかった」
「次はこうすればいい」

という新しい発見が生まれます。

子どもにとって、経験そのものが学びになることがあります。

だから、親ができることは「失敗しない道を全部用意すること」ではなく、

失敗しても大丈夫な道を、一緒に探してあげること。

「やってみる?」
「困ったらどうする?」
「一緒に考えてみようか」

そんなふうに、子どもの背中をそっと押してあげる。

そして、もし失敗したとしても、

「ほら、やっぱり無理だった」

ではなく、

「やってみたから、分かったことがあったね」

と受け止めてあげる。

それだけでも、子どもの「やってみよう」という気持ちは少しずつ育っていきます。

親だって、未来のことは分かりません。

だからこそ、全部を予測して、全部を防ごうとしなくてもいい。

心配することも、子どもを大切に思っているからこそ。

でも、ときにはその心配を少しだけ横に置いて、

「案ずるより、まず一歩。」

親子で一緒に、やってみる。

その一歩の先に、思ってもみなかった「できた!」が待っているかもしれません。