「足るを知る」──「できない」を数えるより、「今日できた」を見つけよう
「足るを知る」
この言葉は、中国の思想家・老子の言葉として知られています。
「今あるものに満足することを知る人は、心豊かに生きられる」
そんな意味があります。
でも、発達障害の子育てをしていると、この言葉は簡単には受け入れられません。
周りと比べる毎日
同じ年齢の子は一人で着替えられる。
ちゃんと挨拶ができる。
授業中も座っていられる。
そんな姿を見るたびに、
「どうしてうちの子は…」
と思ってしまう。
SNSを開けば、笑顔の家族写真。
「今日はこんなことができました!」
という投稿。
見なければいいと思っていても、目に入るたびに心が少し沈みます。
足りないもの探しは終わらない
発達障害の子育ては、どうしても課題が目につきます。
療育では次の目標。
学校では次の課題。
家でも生活習慣。
親は毎日、「次にできるようになること」を考えています。
もちろん、それは悪いことではありません。
成長を願うからこそです。
でも、気づくと一日中、
「まだできないこと」
ばかりを数えてしまう。
それは、子どもだけでなく、親の心も少しずつ疲れさせてしまいます。
「足るを知る」は、諦めることではない
「足るを知る」というと、
「現状で満足しなさい」
「努力をやめなさい」
そんな意味に聞こえるかもしれません。
でも違います。
明日の成長を願いながら、
今日の子どもを認めること。
それが「足るを知る」なのだと思います。
昨日より5分早く宿題に取りかかれた。
自分から「ありがとう」が言えた。
癇癪のあと、自分で気持ちを切り替えられた。
周りから見れば小さな一歩でも、その子にとっては大きな成長です。
親にも「足るを知る」を
この言葉は、子どもだけではありません。
親にも向けたい言葉です。
今日もご飯を作った。
学校へ送り出した。
何度も同じことを伝えた。
イライラしてしまったけれど、最後には「おやすみ」と言えた。
100点の親なんて、どこにもいません。
それでも今日も、子どものために一日を過ごした。
それだけでも十分、頑張っています。
今日の「足りている」を見つけよう
子育ては、不足を探そうと思えば、いくらでも見つかります。
でも、満たされているものも、きっと同じくらいあるはずです。
笑ってくれた。
好きなものを「おいしい」と食べてくれた。
一緒にテレビを見て笑えた。
そんな何気ない時間は、当たり前ではありません。
「足るを知る」とは、
成長を止めることではなく、
今ここにある幸せを見失わないこと。
子どもの未来を信じながら、
今日という一日も、大切にできたらいいですね。