急がば回れ──発達障害の子育てで、本当の近道とは
子育てをしていると、つい焦ってしまうことがあります。
「同じ年なのに、あの子はもうできるのに。」
「早くできるようになってほしい。」
「少しでも追いついてほしい。」
発達障害のある子どもを育てていると、その焦りはより強くなるかもしれません。
健診や保育園、幼稚園、学校。
周りの子どもたちと比べる機会は、思っている以上にたくさんあります。
そんなとき、思い出したいことわざがあります。
「急がば回れ」
急いで目的地に着きたいなら、危険な近道ではなく、安全で確実な道を選んだ方が、結果的には早く着けるという意味です。
実は、この言葉は発達障害の子育てにもぴったり当てはまると感じています。
「できるようにさせる」ことばかり考えていた頃
例えば、着替え。
何度教えてもできない。
時間もない。
結局、親がやってしまった方が早い。
でも、「自分でやってほしい」という気持ちから、何度も叱ってしまう。
親も子も、朝から疲れ果ててしまう…。
そんな経験はありませんか?
私たちは「早くできるようになること」をゴールにしてしまいがちです。
でも、発達障害のある子どもには、その子なりの理解の仕方や覚え方があります。
口で説明するより、写真やイラストが伝わる子。
一度では覚えられず、何十回もの繰り返しが必要な子。
静かな環境の方が集中できる子。
その子に合った方法を見つけることが、一番の近道なのです。
遠回りに見えることが、実は近道
療育に通う。
生活の中でスモールステップを積み重ねる。
一つできたら、たくさん褒める。
できないことを責めるのではなく、「どうしたらできるかな?」を一緒に考える。
一見すると、とても時間がかかるように感じます。
でも、その積み重ねが、子どもの「できた!」につながります。
無理やりやらせるよりも、ずっと確実に。
だからこそ、「急がば回れ」なのです。
親にも「急がば回れ」が必要
このことわざは、子どもだけではなく、親にも向けられている気がします。
「もっと頑張らなきゃ。」
「私の育て方が悪いのかな。」
「もっと何かしなきゃ。」
そんなふうに自分を追い込んでしまうことはありませんか?
でも、親が疲れ切ってしまったら、長い子育てを続けることはできません。
ときには休む。
誰かに相談する。
家事を手抜きする。
支援を頼る。
それも立派な「急がば回れ」です。
今日、一歩だけ進めばいい
発達障害の子育ては、マラソンのようなものです。
短距離走ではありません。
だから、今日できなかったことより、昨日より少しでも前に進めたことに目を向けてみませんか。
一歩進んで、また立ち止まって。
そんな日があっても大丈夫。
焦らず、その子のペースで。
そして、親であるあなたも、自分のペースで。
「急がば回れ」という言葉は、きっと今日も、親子の歩みをそっと応援してくれているはずです。