負け犬なにおいの強いタイトルになってしまいました。
自分は医者でも弁護士でもないですからね。
それほど新しい本ではないようですが、良書に当たったと思ったので少し書いておきます。
年収は「住むところ」で決まる エンリコ・モレッティ
本書の何が良いと思ったか;
- 統計的に仮説検証がなされていること
- 対立仮説が明瞭であり、著者の発見が過去の常識を具体的に痛快に撃ち破ってくること
- 通常のビジネス書では少ない、マクロな視点を提供していること
衝撃的だった論旨
1、雇用の大半は非貿易部門(地域住民のニーズにこたえる、いわば地産地消型のサービス業。ウェイター、看護師、教師、美容師 など)が占めているのに、そうした産業は国の経済的繁栄の牽引役になりえない
- 経済が繁栄できるかどうかは、主として貿易部門のイノベーションにかかっている
2、ハイテク関連の雇用には「五倍」の乗数効果がある
- 要は、ハイテク雇用が1人増えると、その地域でサービス関連の雇用が5人生まれる。たとえば、ヨガインストラクターだったりカフェ店員だったり。
- 伝統的な製造業の雇用乗数は「1.6倍」であり、ハイテクイノベーション関連の1/3以下。
3、給料は学歴より住所で決まる
- 上位都市の高卒者は、下位都市の大卒者よりも年収が高い
- 高学歴者(医者や弁護士)でも、上位都市のほうが下位都市よりも年収が高い
本書では、科学系への教育投資と高学歴者を増やすことが、国力を上げることにつながるといっていました。
そういう意味で、日本の進学率と学力は依然グローバルの平均より高い水準にあるようです。
一方で、私が高校生のころ(2000年ころ)、超優秀な理系の生徒の約半数が医学部を目指していました(実際に医学部に行った人数はもう少し少なかったですが)。超優秀な文系の生徒は法曹界か官僚を目指していました。
現在の日本が、長寿で治安がいいのに経済の先行きが不安なのは、なんだか当然かもしれない なんて思ったわけです。
と同時に、不幸にも「イノベーション産業(ハイテク産業)」ではないながら、幸いにも「貿易部門」にいる自分として、色々頑張ろうという思いを強くしたわけでした。