白い鳥と青い鳥


白い鳥はいつも錆びた鈴を持っていて
いつもはアレンを見つけると
コレ何に見える?と、キレイな鳴き声で
うれしそうに話しかけてくるのに
今日はなんだか元気がない


「どうしたの?」と聞くと
「大切にしている鈴をなくしちゃった」と
とてもションボリして白い鳥はいいました


太陽が笑う日も
優しい雨が虹を連れてくる日も
寒さに緑が震える朝も


白い鳥はいつもその鈴をくわえて
キーンと空に鈴の音を響かせるのが大好きでした
どこにいくのも一緒でした


いつしか時間が経ち
その鈴は音を鳴らさなくなり
雨露で錆びてしまったけれど



白い鳥はその鈴を大切に持っていました



月明かりがキレイな夜や
雲の切れ間から星が落ちる夜や
まだ、みんなが眠っている時間に


白い鳥はその鈴をくわえて
キーンと空に鈴の音を響かせていました


本当は鳴らないのに
目をつぶると聞こえるような気がした


キーン、キーン


何度も何度も体中に鈴の音を響かせて
その鈴を羽根の下に抱きながら
暖かい眠りに落ちるのが好きだった



その大切な鈴をなくしてしまったのだ



アレンは一緒に
思いつく限りの場所を
探す事にしました



つたの絡まるくぼみや
大きな木の根っこ
朝露がたまる銀色の器



探しても探してもありません



ヘトヘトになったアレンをみて
白い鳥は「ありがとうね」と言って
飛んでいってしまった


どこに飛んで行くとも言わずに
それからしばらく白い鳥と会う事はありませんでした


季節が3つ過ぎた暖かい日に
アレンの目の前に白い羽根がフワフワと落ちてきました


びっくりして見上げると


白い鳥が自分の羽根を
アレンに落としたイタズラでした


アレンの喜ぶ顔をみたら
白い鳥もうれしそうに
青い空の下で大きな円を描きました


そして、お互い
たくさんの旅の話をしました


白い鳥は、フワフワのパンのゴチソウの話や
おしゃべりしない女神様
見た事もないカラフルな動物の話


そして、時々アレンを思い出していた事...


アレンもおじいさんにみせてもらった
色とりどりのアイスクリームの話や
赤いモヘアの人形の話


アレンは、白い鳥がいなかった間
森で無くしてしまった大切な鈴を
探せなかった事に「ごめんね」と言いました


すると白い鳥は、温かい気持ちになって
安心して涙がポロポロして出てきました


すると


キーンと聴こえないはずの
鈴の音が響き渡りました


アレンにも聴こえます


すると、青い鳥が飛んできました
鈴の音の鳴き声に似ている
美しい鳴き声の青い鳥



君はどこからきたの?



すると青い鳥がいいました
君と友達になりたくって
君の側でいつも鳴いてたんだよ



太陽が笑う日も
優しい雨が虹を連れてくる日も
寒さに緑が震える朝も


月明かりがキレイな夜や
雲の切れ間から星が落ちる夜や
まだ、みんなが眠っている時間に


キーンキーン


白い鳥は、大切な錆びた鈴が鳴ってるとばかり思っていました


そして、ひとりぼっちだと思っていた白い鳥に
美しい音色を奏でる錆びた鈴のような大切な友達ができました






27.Allen
白い鳥と青い鳥


幸せの青い鳥って、どこにいると思いますか?

モーリスメーテルリンク作の[青い鳥]
二人兄弟のチルチルとミチルが夢の中で
過去や未来の国に幸福の象徴である
青い鳥を探す旅にでます

でも大変な旅を終えた後に分かったのは
青い鳥は自分たちに最も手近なところにある
鳥かごの中にあったという物語

幸せは身近にあるというメッセージか込められています


みんなは何を思いましたか?