非正規問題 電機連合 | 風のかたちⅡ

非正規問題 電機連合

hamachan先生が紹介されている電機連合大会の賃金政策、日経社説限りなのだが、読む限りでは方向性は正しい。


電機連合は8年ぶりに刷新した賃金政策のなかで、「同一価値労働、同一賃金」の立場から正規、非正規社員の均衡処遇を打ち出した。派遣や請負社員を除き、パート、契約社員など雇用契約を企業が直接結ぶ非正規社員が対象になる。

 傘下労組に労使で協議する際の材料として新しい賃金制度のひな型を示し、製造現場、設計開発などの職種ごとに、求められる能力や役割に応じて5つの等級を設けた。非正規社員の多くは「担当業務の知識や技術の習得段階」とした「レベル1」や、「上司の指導で業務を遂行できる」などとした「レベル2」に位置づけられると想定している。


企業横断的な職種別労働市場がない、と一般に言われているなかで、正規・非正規の均等処遇、均衡処遇をいうのならば、企業内の職能資格等級のなかに位置づけて、評価も(今のところ正社員同様か定かでないが)行うのが現実的な行き方だと思う。


佐藤博樹先生他が「正規・非正規の二元論を超えて」(090707,リクルートワークス研)のなかで焦点を当てた「常用・非正規」については、特に、実現可能性のある方策ではないか。


 総人件費が限られるなか、非正規社員の処遇の向上は正社員の待遇切り下げにつながる可能性もある。均衡処遇の実現は簡単ではない。

 だが非正規社員の士気を高める効果は大きい。電機連合の案のように等級ごとに求められる能力を明確にすれば、パートや契約社員が自ら能力開発に励む際の目安にもなる。


 製品市場・技術構造等の不確実性がます中で、人件費に厳しい枠がはめられるようになっている。非正規の増大という現象は、単に雇用調整弁のためという以外の財務的な視点からも理解されなくてはならない、という指摘がある。そんな中での正規・非正規の均衡処遇は、正社員処遇とのトレードオフ関係も内包しうる。そうした課題は、実は明言されなくとも意識されていたのではないか。正社員・本工組合がこの問題も認識した上で産業レベルで企業横断的な非正社員の能力資格への位置づけを検討したとしたら意義深いことではないか。


また、非正規といっても派遣労働者を除く直接雇用に限ったものであることだが、産業レベルで直接雇用・非正規の均衡処遇への手掛りが生まれることは、間接雇用についても少なくともマイナスではない。


新賃金政策の詳細は分からない。新聞社説ベースの話で余り持ち上げてしまうのも何だ。今後のより詳しい情報に注目すべし・・・昔は、少なくとも大手産別の大会や中央委員会くらいは取材・報道する専門紙があったのだが、今はどうなのか(大手報道機関は、大会には来ても報道はベタ記事、それも運動ネタより政治ネタみたいなところがある)。今日のところは、いまや唯一ともいえる?「連合通信」のサイトにも情報がないですね。