あれから一年経ちました。 

22年。そばにいるのが当たり前の存在だった。 

朝方、目覚めると「なんだかパジャマの袖口が濡れているなー」と怪訝になったり。 

枕元の横に直径2、30cmほどの濡れた跡があったり。 

粘りのある固形物をつけたまま私の顔にお尻を見せたり。 

血まみれの小鼠の死骸を置いていってくれたり、死にかけのイタチの子供を見せつけたり。 

洗ったばかりの洗濯物の上に戻したり。 

それでもそれを遥かに上回るくらい癒してくれる存在だった。 

父が亡くなった冬が過ぎて春。母猫が連れてきた。ここが餌場だと。 

父を亡くした喪失感は何をしても埋められなかったけれど、柔らかい温もりで心地よかった。

母と私と猫たちの生活が始まり、猫たちはやがて親離れ子離れして母と私とお前の二人と1匹の生活になった。 

数年後、母が亡くなりその時も父が亡くなった時と同じように喪失感は拭えなかったけれど、お前の温もりが癒してくれた。

お前と私だけ一人と1匹になり、さらに7年が過ぎてお前が逝ってしまいとうとう私一人になったね。 

時がこの痛みを和らげてくれるのだろうか。