【肋骨12番のぎっくり腰】
危なかったあ…(><;)
もう少しで治せず仕舞いになるところだった。
患者は40代女性。
当院患者さんの紹介で来院。
5日ほど前に何気ない動作(後ろを振り向いた時)で腰を痛める。
歩くのにも支障があり、特に深い前傾姿勢をとると、そのまま体幹を上げることが困難になると言う。
そうした問診をしていて、これは胸椎12番だな、と感じた。あるいは腰椎2番だ。
痛みは腰方形筋の辺りに感じ、体幹伸展、右方向に側屈及び右回旋で顕著な痛みが出る。
可動性検査でも上記に陽性の反応。
早速ストレイン&カウンターストレインにて矯正。
それで、「え?あれ?痛くない」(喜びの顔)
…と、相成るはずだった。
ところが。
カウンターストレインのあとは、脱力したまま中立位という「気を付け」の姿勢に戻すのですが、
その戻す時点で痛い、という顔をされる。
あれ、矯正姿位(位置)に入れるのをしくじったか?
で、もう一度矯正。
これで上記「え?あれ?痛くない」になるはず。
が、やはり中立位に戻す途中で痛がられる。
???(内心プチパニック)
ん?すると腰椎2番か?あるいは腰方形筋?ちょっと違うような気が。
腰椎2番、効いたか謎。腰方形筋に至っては、姿勢をとると痛がられる始末。
もう一度、体幹伸展、側屈、回旋。
今度は、それは痛くないと言う。
うつ伏せから起き上がるのも、痛くなくなった。
が、仰向けから起き上がるのは痛む。同じく仰向けで少し体勢を変えようとすると、それも痛む。
そして肝心の、前傾姿勢から起き上がる動作に、最も痛みと不安を覚えるのが変化なし。
どこだ、どこだ、原因は?
もしかしたら腰方形筋の筋膜剥離?それが一番クサいか?
情けないことに、すっかり“迷子”になる。
あれやこれや、あれやこれや。
で、結局体幹屈曲、患側回旋で顕著な痛みがあることが判明。
健側側屈のみでは痛みがない。これは、腰方形筋の筋膜剥離ではない事を物語る。
すると…。
腰方形筋にある痛みから考えて、一番下の肋骨、つまり12番を下から上にカチ上げるように動かすと、それも顕著な痛み。
胸椎12番の変位。腰方形筋に痛み。
そうか、あまりにキホンな事だったのか…。
肋骨12番の矯正。
すると、体幹前屈から起き上がるのに不安が無くなった。
少し痛みが残るものの、大分「まし」だと言う。動作にもほとんど問題なくなる。
3日ほどは急な動作を避け、腰部の負担になるような重量をかけないようにアドバイス。
他の部位は、かなり良い状態。5日ほど前の受傷だし、この一回で問題なくなるはず。
5~6日様子を見て、もし痛むようであればまた来てください、と告げましたが、多分大丈夫でしょう。
肋骨1番(肋骨の一番上)の変位で、ひどい肩凝りや首の動作痛(寝違ったような)を訴える患者は今までに何人かいたが、
最下部の肋骨12番でこれほどの痛みを訴えた方は初めて。
てか、肋骨12番の変位自体が初めてか、2回目くらい。
今までに見聞きした話や資料でも、(下部)肋骨がぎっくり腰の原因になっていたという話しは見たことも聞いたこともない。それとも単に、“寡聞にして知らず”なのか?
想像するしかないのだが、日ごろの生活習慣上の姿勢から胸椎12番と腰方形筋あたりに負担が重なり軽い緊張状態にあったのが、急に振り向いたことで急速に緊張が強まり、発症に至ったのでしょう。
とても印象的で、勉強になったものですから、
思わずブログアップしてしまいました(;^ω^A
(それにしても、結局解決するのに1時間半ほどかかってしまった…
ダメじゃないか)