十年程前 ・・
静岡県の伊豆へ会津の茅手さんの手伝いに行った時、来る日も来る日も雨に降られた。
工期は動かせず、素屋根のない中で 雨に打たれながら屋根葺きをした。
その屋根では ・ ・
水を含んで ジューシーな重くなった茅と 滑らない藁縄 と葛藤し、濡れた屋根の屋刈りで葛藤した。
それでも、合羽を着て 黙々 と屋刈りしている 先輩職人の姿 ・・・
夜、宿舎でハッチャケたら 「 こら! はしたない 」 と、真面で叱られた …
雨降りに軒刈りをしながら、そんな記憶を思い出していた …
生の薪火は最高だ。
濡れて身体が冷えたら 薪ストーブであたたまる。
身体があたたまったら また身体を酷使し、茅葺きロボット となって屋刈りする。
・・ 黙々 ・・・ もくもく もくもく と 燻し燻され
思案し弛緩し私感する …
造作中の大工さんも 「 こりゃ。 かなわん! 」
と、燻し出された ・・・
屋根表面は水切れが良い様に、そして内と外の適度な通気性
そういう 防水透湿性 を特に課題にして意識することになった屋根葺きだった …