3月15日(水)日高祭20で実現する船木誠勝vs伊藤崇文。
僕と伊藤が大阪で一緒に練習している頃、パンクラスが旗揚げした。伊藤は「パンクラスに入りたい」と言い、毎大会のように大阪から観戦に行っていた。横浜大会に観戦に行った翌日の練習で「昨日駐車場で船木さんに土下座してん」と言った。僕は何とも言えず、ただ彼の覚悟に圧倒された。それから数ヶ月後、伊藤は入門テストに合格した。新大阪駅まで見送りに行った。伊藤は新幹線に乗り込んでも、窓越しにバカなことをして僕たちを笑わせた。それはこれから始まる過酷な日々への覚悟や恐怖といった感情を必死にごまかしてるように見えた。
入門してからも伊藤はちゃんこの買い出しのちょっとした合間にも電話をくれた。「大阪のお笑いが見たいわ」と言うので、テレビのお笑い番組を録画して毎月送った。
翌年、伊藤は名古屋でデビュー戦を迎えた。当然応援に行った。伊藤はプロレスラーとして当たり前に闘い、当たり前に勝った。まだ大阪で燻ってた僕には眩しすぎた…。
そんな伊藤が自身の覚悟をぶつけた相手、船木さん。
僕にはわからない感情がそこにはある。リング上で向かい合うのも約20年ぶり、どんな世界が構築されるのか。どんな感情が渦巻くのか。
だからこの試合が観たい。
プロレスラー伊藤崇文はまたここから新章が始まる気がする。また始まって欲しいと僕は思ってる。僕の知る伊藤崇文という男は、まだまだこんなもんじゃない。