本日は、高島屋のいちごケーキ問題について私見を述べたいと思います。

まず、ご存じない方は、高島屋いちごケーキ問題ついて、こちらをご覧ください。

 

 

その後高島屋が会見を開き調査したものの原因特定は不可能としています。

 

 

 

さて、ここからが当垢の分析です。

まず、イチゴの相場をご覧ください。

 

 

例年10月から始まるイチゴの相場は、11月上旬に高値圏ながら安定し始め、その後流通量の増加とともに下落し、11月下旬から12月上旬に「底」を迎えます。そして、クリスマス、歳末、正月向けて再値上がりして、年明けは改めて値が下がっていきます。

すると、冷凍イチゴケーキを作る場合、11月下旬から12月上旬までの安値でイチゴを仕入れてケーキを作っておけば、クリスマスに製造することに比べて原材料コストを削減できます。実際去年は2週間程度の冷凍期間を設けていたそうなので、12月上旬にケーキを作っていたはずです。

しかし、今年(2023年)は気候の影響でイチゴが高騰し、本来底値が付くはずの時期に価格が思うように下がりませんでした。このような場合、高島屋の思惑としては、「もう少し待てば、下がるのではないか」と感じるはずです。ケーキに使うような大粒のイチゴをケーキ2900個分仕入れるのですから、わずかなイチゴ調達価格の上昇が大幅な荒利低下を招くわけです。そこは高島屋にとって「賭け」だったと思います。

そして、12月中旬、さすがに「底値」になるであろう時期に、非情にもイチゴ相場はクリスマスに向けた上昇を始めます。高島屋は調達のチャンスを逃しました。こうなってくると、調達コストを度返ししてもイチゴを集めなければなりません。ところが、この時期、大玉のイチゴはまとまった量を手配しにくい状況があります。何しろ他社もイチゴが欲しい時期なのです。

そして何とかイチゴを調達できたのは12月20日ころだったのではないでしょうか。そこから頑張ってケーキを作ると何とか23日に間に合うように出荷できますが、冷凍は不十分になりがちです。

 

もちろん、以上は私の私見であり推測です。

ただ、部外者の私でさえイチゴの相場データからこれだけ考察できることはわかっていただきたいのです。安易に「原因特定は不可能」なんて言ってはいけない。

恐らく、高島屋オンラインショップのイチゴケーキ担当バイヤーが、生鮮担当者のイチゴ流通に関する意見を聞いて、早い段階でイチゴを仕入れていれば、防げた事故です(生ものを物量的に多く手配するには早めに手配するほかないわけで、クリスマス納期厳守なら「待つ」という選択は、生鮮担当者ならしないはずです)。

私のつたない分析が当たっているかは不明ですが、デティールに踏み込み、背景要因まで分析してこそ「原因究明」が「原因究明」になるのはお判りでしょう。

製造元と運送会社に報告させた結果だけを見てで「原因特定は、不可能」なんて、私には調査不足に見えてしまいます。