『いびつな星が増える』


もうええわ、やめさせてもらうわ

何度も飲み込んだこの言葉

灼熱の中自分の汗を飲みながら

涙を誤魔化した


どないやねん、君とはやっとれんわ

言えないで愛想笑い浮かべた

世知辛い風が冷やしたのは指先ではなく

目の奥だった


諦めたわけじゃないけど

期待することには疲れてしまった

とはいえ夢は持ち続けている

いや、どうにも捨てられずにいる

この手から剥がれ落ちてくれず

いつまでもぶらぶら揺れている


今夜も僕は歌う

行き場の見失った魂を

混ぜてこねて形作って

どうにか聴きやすいメロディで

そうしてまた夜空にひとつ

いびつな星が増える


画面越しに伝えることが

得意じゃない僕はいつも

生にこだわって街で歌って

素通りされて薄ら笑って


情けない帰り道に

辞めてった仲間の背が浮かぶ

自分は恵まれている恵まれている恵まれている

嘆くことも許されねえ


諦めたわけじゃないのは

もう自分だけの夢じゃないからだ

待ちに待ちわびた逆転劇 

歓喜の瞬間のその時

あなたは一緒に泣いてくれますか


今夜も僕は歌う

行き場の見失った魂を

混ぜてこねて形作って

どうにか聴きやすいメロディで

そうしてまた夜空にひとつ

いびつな星が増える


張る見栄ももう残ってねぇ

なんてプライド捨てたふりして

ちゃっかりガッツリ守ってんだ

打たれ弱く脆い自尊心を


酔っ払いに絡まれ

不良に馬鹿にされ

それでも僕は歌う

それでも僕は誰かのヒーローなんだ


今夜も僕は歌う

妬み嫉み怒り憎しみも

歌にするしか術がないから

自分がつぶれて消えないように

そうしてまた夜空にひとつ

いびつな星が増える


いつかこの夜空が

うまく煌めけなくなったら

それは僕のせいかもしれない

それは僕のせいかもしれない