『鼓膜』


明け方見た 渇いた月

居心地悪そうに浮かぶ

産まれたての青い空は

中途半端に僕を照らす


いつも

ひとり

どこに

いても


願い込めて放った歌声は

砕け散って砂になって

無かったことになる

せめて君へ 鼓膜のその奥へ

どうか届けそっと触れて

誰にも奪われぬよう


ドライフラワーはその寿命と

引き換えに色を失う

今の僕はどうだろうか

とっくに別の生き物かも


なみだ

たれて

さらに

かわく


願い込めて放った歌声は

砕け散って砂になって

無かったことになる

せめて君へ 鼓膜のその奥へ

どうか届けそっと触れて

僕らだけの場所になれ