『アノヒノテンサイ』


君は歌もギターも超一流で

書く詩は上質な絵画のようで

どれだけ手を伸ばしても

届く気がしないほど別次元で

圧倒的にアーティストだった


ラーメン屋でライブの反省会

二次会はボロい部屋で缶ビール

薄い布団並べ寝ながらくれたアドバイスは

今も僕の大切な場所にしまってある


全国区になった最新シングルは

街中を君の声で染めていった

天才の存在に世界が気づいたあの瞬間

鮮明に覚えているのに


あの日の天才 どこに消えた

リリースもライブも更新は止まったまま

あの日の天才 どこに消えた

顔色ひとつ変えず世界はまわる

アノヒノテンサイ


長い旅から帰ってきた君は

縮れた髪から草の匂いがした

引用と盗作の境目を問いかけた僕に

君は最後まで目を合わせず話した


あれから僕も少しは成長したよ

こないだ作った曲は自信があるんだ

聴いておくれよ あの頃みたいにさ

あーだこーだ偉そうに言ってほしいのに


あの日の天才 どこに消えた

何もかも随分前から止まったまま

あの日の天才 どこに消えた

リツイートのみの無機質なTwitter

あの日の天才 どこに消えた

何もかも無かったように世界はまわる

あの日の天才  どこに消えた

ねえ答えてよ 何があったというの

アノヒノテンサイ