『サレンダー』


君は可憐なサレンダー

破いたカレンダー

僕のものにできたならいいのに


突然の夕立が街の景色を

一変させて奪った

水分を含んだ深呼吸

なるべく遠くを眺めていた


いつまでも子どものように

無邪気にはいられないよな

それでもいつでもどこかで

童心を求める僕らは


まるで健気なチャレンジャー

不安定な初心者

愛を知るその度に


恋をして破れて後悔して

恋なんてウンザリと呟いて

それでもまた誰かを求める

万年恋愛依存症サレンダー


いつでも話聞くからねなんて

打算なく言ってる訳がないね

悲しみに暮れる君のその全て

僕のものにできたならいいのに


四六時中君のことで

頭がいっぱいな訳じゃない

思い出す度に胸が苦しくなるほど

甘くもない


叶わない夢はないなんて

誰が言い出した戯言

いつか必ず結ばれるのなら

片想いはどんなに楽だろう


負けの込んだチャレンジャー

君にはバイプレイヤー

悲しくなるぐらい


花火の上がらない夜空の下

核心には触れずに寄り添った

会ったこともない元彼ってやつに

手も足も出ず天を仰いだ


他の誰かを好きになれたなら...

思いつきがあまりにチープだね

酔ったせいにしようとする君を

抱けるほど軽い気持ちじゃなかった


寝顔があまりに愛しかったから

声もかけず部屋を出た

バイクを走らせ僕は呟いた

それでも朝日は綺麗だ

すごく綺麗だ

Ah サレンダー