
「美人に生まれれば幸せだったのに」「私が不幸なのは美人ではないせい」…などの言葉をよく耳にします。
でも、本当でしょうか?
私の大学時代の後輩に、ものすごい美人がいました。
一緒に歩いていると、男性ばかりではなく女性も振り向きます。切れ長の目、高い鼻、真っ白い肌につややかな黒髪、それにとても大きな乳房をもち、背がもう少し高かったら、間違いなく芸能界に行っていたでしょう。
彼女自身は、その外見と違って、男性的な内面をもち、アニメや漫画が好きな、オタクな性格でした。その部分で私と気が合って、一緒によく遊んだものです。
大学時代から、まさに群がるように男性が集まり、卒業後も就職せず、男性に囲われるように暮らしていました。そのうちに夜の世界で働くようになり、一時は名古屋でも最も格式の高いクラブ(歌舞伎俳優が遊びにくるような店)の圧倒的ナンバー1になりました。
交際範囲もどんどん広がり、誰しも知っている洋服デザイナーが主催するお茶会にお呼ばれするなど、華やかな生活を送っていました。
運気が変わったのは、ある男性と出会ってからです。20歳くらい年上の不動産業の彼は、100m先からでも金持ちとわかるような派手な服装
毎晩のように錦の町で飲み歩き、夜の世界ではちょっとした有名人だったようです。
しかし、顔つきを見ても、服装を見ても、どこからどう見ても普通の人ではありません。悪の臭いがプンプンします。
私も私の友人も、必死に止めましたが、彼女はきかず、派手な結婚式をあげました。
しばらくして、顔にあざを作った彼女が私のところに逃げてきました。どうも、ものすごいDV男性だったようです。
警察に行くように勧めましたが、結局彼女は男の所に戻りました。その後、男性と一緒に大麻所持で逮捕されてしまいます。
周囲の説得に応じ、ようやく別れることを決意しましたが、今度は男がストーカーと化し、彼女の家や実家に押しかけ、何度も警察沙汰になり、裁判にもなりました。
彼と別れることができたのは、彼に新しい若い女ができたらです。
その後も彼女は、普通の生活に戻ろうとしましたが、また新たな男性が現れます。なんといっても彼女は絶世の美女なのです。
そして不幸なことに、彼女は自分の美貌以外に、自分を他者にアピールする方法を知らなかったのです。
最後に会った時、彼女はすっかりとやせ細り、派手を通り越したトンチンカンなファッションに身を包んでいました。なにかドラッグをやっていたのかもしれません。
「私、美人に生まれなければよかった」
焼酎の梅割りを飲みながら、つぶやいた彼女の一言を忘れられません。
彼女とは連絡が途絶えてしまいました。東京に行ったという噂もありましたが、行方不明状態です。
美とは、ある意味で、凶器です。使い方を誤ると、その刃は自分へと向かうこともあります。