2014 Best (Reggae) Albums 後篇
毎度ヤーマンです。
さて、ありがたいことに好評いただいております前回のエントリの続きを書いていきたいと思います。
個人のブログにつき私情を挟みまくっている点、また画像が多く読み込みが遅い点、そして乱文にはご容赦ください。
さて、今年のレゲエの音楽的傾向として私が注目したのは70年代後半から80年代前半にかけてのドレッドなワンドロップ・サウンドの復権です。
より具体的には当時Roots Radics(RIP Style Scott)やSly & Robbieがクリエイトしていたサウンドですね。これに絶妙なマッチをみせたのが、2位にあげたChronixxだったのですね。
Chronixx - Here Comes Trouble (Rootsman Riddim) はIni Kamoze - Wings With Me のリメイク。
このriddimは実際にサンプリングに生演奏を加えたものだったそうです。そんな製作過程の裏話まで教えていただいたジャマイカ在住のGacha from Gachapan さんありがとうございます!
またChronixx - Alpha & Omega (Inna Rub a Dub Style)はAl Campbell - You Jammin のリメイクなんですね。これはreggae shop NATのカズさんに教わりました。ありがたい。
Chronixx - Alpha & Omega
Al Campbell - You Jammin
"We step on the beat an kick up riddim like Sly Dumber!"というラインも熱い!(でも原曲のドラムはStyle Scott)
さらにリメイクつながりでいうと2015年にアルバムリリースということなので首を長くして待っているStephen MarleyがSizzla & Capletonを迎えて歌った - Rock Stone
もかなり私のツボでクラブでもよく耳にしましたが、これは
Johnny Clarke - None Shall Escape The Judgement が元ネタですね。
ジョジョの奇妙な冒険なら「スタンドを発現!鼻歌からリディムの元ネタを当てる能力!」って感じですが我ながら使い道の乏しい特殊能力だと思いますね。ま、レゲエは流行と共に変わっていく音楽なのでこのムーブメントがいつまで続くかわかりませんが、一介のリディム・トラック野郎といてはこの辺り大好きなのでもうちょっと続いて欲しいなと思います(RIP一番星)。
そんな視点で選んだ年間6位はこちらです!
No.6 Aloe Blacc "Lift Your Spirit"
レゲエじゃないんかい!という皆様の突っ込みが聴こえます。しかもリリースは昨年10月ですが、そこは個人ブログということでご容赦ください。いいものはいいのです。
彼の紹介にはbmrさんの素晴らしい文章を引用させていただきます。
「1979年生まれ、カリフォルニア出身のソウル・シンガー。イギリスで最高2位となった“I Need A Dollar”や、ゲスト参加したアヴィーチー(Avicii)のヒット・シングル“Wake Me Up”などで知られる。本名はエグバート・ナサニエル・ドーキンズ三世(Egbert Nathaniel Dawkins III)で、パナマ系アメリカ人。元はラッパーで、イグザイル(Exile)とともにヒップホップ・デュオのエマノン(Emanon)として先にデビューを飾った。2013年にはメジャー・デビューを果たしている。
1995年に同じく西海岸で活動していたプロデューサーのイグザイルとエマノンを結成し、ミックステープやEPをリリースして活動。2005年にはフル・アルバム『The Waiting Room』も発売した。エマノンとしての活動の一方でソロとしての活動もスタートし、2006年にはソロでStones Throw Recordsと契約。同年リリースしたソロ・デビュー作『Shine Through』は、ヒップホップをベースにしつつ、ブロークンビーツ、ダンスホール、ラテンまでさまざまな要素を取り込み、ジョン・レジェンドの名曲“Ordinary People”をスペイン語でカバーするなど歌への比重を強め、2010年にリリースした2ndアルバム『Good Things』では完全にシンガーへと転向。ソウル・ミュージックへの憧憬を表したレトロなサウンドや、元ラッパーならではの歌詞などが高く評価され、特にそのブルージーな歌声が紡ぐ“I Need A Dollar”はイギリスで最高2位になるなど欧州を中心に大ヒットした。
2013年には大ヒットを記録したアヴィーチー“Wake Me Up”への参加でさらに知名度を上げ、同年8月にXIX Recordings/Interscope Recordsとのメジャー契約を発表。ヨーロッパでは11月に、アメリカでは2014年3月にメジャー・デビュー作『Lift Your Spirit』がリリースされた。」
...なるほど、やっぱり元ラッパーなんだ。しかもパナマ(パナマ運河工事にジャマイカからの労働者が多く訪れて以来レゲエが盛んな土地)の血が入ってる。道理でサンプリング感覚がヒップホップとかレゲエのそれだと思ったんだよな!
彼のアルバムからのシングルカット Aloe Blacc - The Man
の元ネタはElton John - Your Song
だし、収録曲Love is the answer は(多分だけど)Dennis Edwards - Don't Look Any Further ft. Siedah Garrettが元ネタだろう。全編通じて昔の音楽への傾倒と愛情を感じる好作品でした。
一言リコメンド「ダニー・ハサウェイもテディペンももう居ない。しかし我々にはアロー・ブラックがいる!」
とにかくなぜか日本では流行ってないみたいな扱いになってるR&B~ソウルミュージックはD'Angeloが15年ぶりのアルバムを出したり、Sam Smithも素晴しいバラードを連発した豊作の一年だったと思います。
Sam Smith - Stay With Me
ヒップホップではWu-Tang ClanのA Better tomorrowも印象深い。
Wu-Tang Clan - A Better Tomorrow
しかしソウル豊作の背景にはファーガソン黒人少年射殺事件など、アメリカを揺るがせているヘイトクライム多発という社会問題があったのかとも思います。人種差別のない世の中への音楽家たちの願いが、先人達の魂を呼び戻したと思うと複雑ですが、米国人ならぬ私が言えるのはいい音楽をありがとう!です。Michael JacksonとPharrellの作品は…うーんそのうち良く聞こえだすといいな(笑)。
No.7 Arca - Xen
またレゲエじゃない!でもいいものは(省略)。
しかし、いいと感じることは出来ても他ジャンルの方のことは良く知らないのでCinra.netさんの素晴らしい文章を引用して紹介いたします。
「ARCA(アルカ)。まだその名にピンとこないという読者もいるかもしれない。方舟、中世のスペインやイタリアで用いられた貴重品箱、あるいは貝の名前などの意味を持つ(実際にはそのどの意味でもないかもしれないが)ARCAを名乗るのは、ベネズエラはカラカス出身、現在はロンドンを拠点に活動する若干24歳のトラックメイカー、アレハンドロ・ゲルシ。今エレクトロニックミュージック界隈において、最も注目を集めている「超大型」のルーキーだ。プレス資料には「Aphex Twin以来の衝撃!」というコピーが書かれているが、彼はこれまで正式なデビューアルバムすら発表していなかったのだから、名前を知らない人がいても仕方がない。しかし、特にここ2年ほどの彼の驚くべき躍進と現在の注目度を知れば、件のコピーがそうそう大袈裟なものにも思えないはずだ」
レゲトンにエレクトロニカをぶっこみ、最後にダブ注入したかのような音楽も凄いが、新日系二世のJesse Kanda君制作のビデオがまたヤバイんだな。
一言リコメンド「なんじゃこりゃあ!(ジーパン刑事ボイス)今年一番の衝撃度!」
Arca - Thievery
No.8 The Bug Angels & Devils
またレゲエじゃない!でも(省略)
The Bugさんの紹介にはBEATNIKさんのすばらしい文章を引用させていただきます。「ウォーリアー・クイーンをフィーチャーした「Poison Dart」が大ヒット・アンセムとなり、ザ・バグ(The Bug)ことケヴィン・マーティンにとっても大きなターニング・ポイントとなった『London Zoo』(2008)では、ロンドンのアンダーグラウンド社会に訪れる未来をディストピアとして描かれていた。その後ロンドンからベルリンに移住したザ・バグことケヴィン・マーティンは、そのコンセプトをさらに拡大させ、世界崩壊後に訪れる絶景を描き出した6年振り待望の最新作『Angels & Devils』を完成させた。
タイトルが示唆する通り、光と闇という明確なテーマが追求された今作。アルバム前半にはグルーパーことリズ・ハリス、インガ・コープランド(ex ハイプ・ウィリアムス)、ミス・レッドといった女性ヴォーカリストたちがフィーチャーされ、フライング・ロータス作品への参加で知られるゴンジャスフィ参加曲を境に、後半では、先日ビョークが参加した最新作を発表したばかりのデス・グリップス、長年のコラボレーターであるフロウダン、グライム集団ロール・ディープ所属でハイピッチの特徴的なフロウを炸裂させるマンガ、前作でも活躍したウォーリアー・クイーンが参加した超攻撃的トラックが続く。またゴッドフレッシュ、イェスー、ナパーム・デスでの活動で知られるジャスティン・ブロードリックがギターで参加。アブストラクトで浮遊感すら漂う前半と強烈なほど暴力的な後半とのコントラストの中で、マッシヴアタックの名作『Mezzanine』を彷彿とさせるヒリヒリとした緊張感と官能性、そして陰鬱な雰囲気を凌駕する高揚感が同居する」
レゲエファンの皆様におかれましてはDaddy Freadyをフィーチャーした"Kill them"とFlowdanをフィーチャーした"Louder"だけは是非聞いてみて欲しい。ジャマイカや日本とは全く違うヨーロッパ特有のダンスホール・ミュージックの進化を感じます。でもこんなゴリゴリの最新電子音楽がKing TubbyとかAugustus PabloとかWackiesのサウンドにも聴こえてくるんだよな。俺が難聴なだけかもしれんが。
The Bug - "Kill Them / Louder"
一言リコメンド「マイクとサンプラーとVibes一本勝負のざらざらロマン!」
No.9 V.A "GUSSIE PRESENTING THE RIGHT TRACKS"
やっとレゲエが来ました!こちらは80年代後半から90年代前半にMusic Worksレーベルを立ち上げ、J.C Lodge"Telephone Love"やShabba Ranks"Mr. Loverman"などをプロデュースし、時代を象徴するプロデューサーとして大活躍するGussie Clarkeさんが新進気鋭の若手プロデューサーとして活躍していた70年代の作品を集めたコンパイル盤です。え、これを10代とか20代前半のときに?という才能のきらめきが素晴らしい。ちなみに若手時代にプロデュースした最大のヒット曲はMighty Diamonds "Pass the kuchie"です。てかそのあたりは全部今もどこかのダンスでプレイされ続けるクラシック中のクラシックですよね。
個人的なオススメはJacob Miller - Girl Don't Come
とHorace Andy - Delilah
前者はSandy Shaw、後者はTom Jonesのカバーだね。この時代のジャマイカ人ミュージシャン・プロデューサーで白人ミュージシャンの曲をカバーする人って案外少ないのですがガッシーさんは人種なんて気にせずいいものはどんどん取り入れる人だったんでしょうね。いいと思います。
このシリーズからはボックスセットの7インチシングルも出ているので、未チェックのレゲエ・コレクターはぜひレコ屋に!
一言リコメンド「バー経営者の皆さん。音にうるさい常連さんをうならせる曲は、あります!」
No.10 リクルマイ "きたぐにのはる"
こちらの作品の紹介もリクルマイさん公式サイトより引用させていただきます。
「リクルマイのルーツである東北。その東北の地で歌い継がれた民謡と、レゲエのモンスタートラックとが奇跡の融合を果たした!リクルマイの新境地「民謡レゲエ」4曲と、3年前に東日本大震災で未曾有の被害にあった故郷に捧げる渾身の書下ろし曲「きたぐにのはる」(M-5)。
ライブの定番曲となっているこれらの作品、民謡レゲエで場内を笑いの渦にまきこみ、「きたぐにのはる」では涙をさそう。リクルマイの「今」を如実に伝えるものとなっている。
演奏はLikkle Mai Acoustic Band。
レゲエ界のベテランによる脂ののったプレイが骨子となり、二人のゲスト奏者・大熊ワタルのクラリネットと、こぐれみわぞうのチンドン太鼓(共にジンタらムータ)が躍動感あふれる輝きを本作に与えている。
MIXはお馴染み内田直之。
レゲエファンだけの手元に届けるだけではもったいない、笑って踊ってホロリと泣けるミニアルバム全5曲!」
もうライナーノーツが素晴しいので俺が余計な文章を書く必要もないですけどね、やはり2011年の東日本大震災~東電福島第一原発事故を経て、岩手県宮古市出身の彼女が悲しみも憂いも乗り越えて、笑顔で歌うその姿こそが我々の希望なんですよマジで。
一曲目、"秋田音頭"はSLENG TENG Riddim、二曲目、"相馬盆唄"はDuck Riddim、三曲目の"チャグチャグ馬っ子"はBam bam Riddim、4曲目"ノンキ節"はPunnanny Riddimですね。ええ、自分トラック野郎ですから!
唯一あれと思った点はミックス・マスタリングが今の音じゃないところ。悪いって言ってるんじゃないですよ!ローエンドはこのくらいふっくらと余裕がある方がボリュームを上げたときにいい音になるんですよね。それは重々存じております。
でもやっぱし今年一位のKalbataさんや、去年素晴しいアルバムを出していたThe Lionsは近年流行と言えるベース強め、コンプ感強めながらも、ふっくらとした生音サウンドを作ることに成功していたわけで、そこと並べて聴くとこの作品のダンスホールトラックはもうちょっと迫力が欲しく聞こえてしまいました。でも何度も言いますけどそれが悪いって言ってんじゃないですよ!それに自分やっぱり難聴かもしれません!
一言リコメンド「音質とかいう奴は無粋!彼女の存在自体が希望!みんなを笑顔にする歌!」
"秋田音頭" アラゲホンジ × Likkle Mai (リクルマイ)
というわけでいかがだったでしょうか?
もしこのブログが参考になったという方が居たら幸いです。また、よかったらHibikillaのライブにも遊びに来てくださいね。私のライブ情報リリース情報はオフィシャルサイトをご覧ください。
2015年も皆様が良い音楽に出会えることを願います。俺もアルバム出したいがどうなるだろうか。JAH!
さて、ありがたいことに好評いただいております前回のエントリの続きを書いていきたいと思います。
個人のブログにつき私情を挟みまくっている点、また画像が多く読み込みが遅い点、そして乱文にはご容赦ください。
さて、今年のレゲエの音楽的傾向として私が注目したのは70年代後半から80年代前半にかけてのドレッドなワンドロップ・サウンドの復権です。
より具体的には当時Roots Radics(RIP Style Scott)やSly & Robbieがクリエイトしていたサウンドですね。これに絶妙なマッチをみせたのが、2位にあげたChronixxだったのですね。
Chronixx - Here Comes Trouble (Rootsman Riddim) はIni Kamoze - Wings With Me のリメイク。
このriddimは実際にサンプリングに生演奏を加えたものだったそうです。そんな製作過程の裏話まで教えていただいたジャマイカ在住のGacha from Gachapan さんありがとうございます!
またChronixx - Alpha & Omega (Inna Rub a Dub Style)はAl Campbell - You Jammin のリメイクなんですね。これはreggae shop NATのカズさんに教わりました。ありがたい。
Chronixx - Alpha & Omega
Al Campbell - You Jammin
"We step on the beat an kick up riddim like Sly Dumber!"というラインも熱い!(でも原曲のドラムはStyle Scott)
さらにリメイクつながりでいうと2015年にアルバムリリースということなので首を長くして待っているStephen MarleyがSizzla & Capletonを迎えて歌った - Rock Stone
もかなり私のツボでクラブでもよく耳にしましたが、これは
Johnny Clarke - None Shall Escape The Judgement が元ネタですね。
ジョジョの奇妙な冒険なら「スタンドを発現!鼻歌からリディムの元ネタを当てる能力!」って感じですが我ながら使い道の乏しい特殊能力だと思いますね。ま、レゲエは流行と共に変わっていく音楽なのでこのムーブメントがいつまで続くかわかりませんが、一介のリディム・トラック野郎といてはこの辺り大好きなのでもうちょっと続いて欲しいなと思います(RIP一番星)。
そんな視点で選んだ年間6位はこちらです!
No.6 Aloe Blacc "Lift Your Spirit"
レゲエじゃないんかい!という皆様の突っ込みが聴こえます。しかもリリースは昨年10月ですが、そこは個人ブログということでご容赦ください。いいものはいいのです。
彼の紹介にはbmrさんの素晴らしい文章を引用させていただきます。
「1979年生まれ、カリフォルニア出身のソウル・シンガー。イギリスで最高2位となった“I Need A Dollar”や、ゲスト参加したアヴィーチー(Avicii)のヒット・シングル“Wake Me Up”などで知られる。本名はエグバート・ナサニエル・ドーキンズ三世(Egbert Nathaniel Dawkins III)で、パナマ系アメリカ人。元はラッパーで、イグザイル(Exile)とともにヒップホップ・デュオのエマノン(Emanon)として先にデビューを飾った。2013年にはメジャー・デビューを果たしている。
1995年に同じく西海岸で活動していたプロデューサーのイグザイルとエマノンを結成し、ミックステープやEPをリリースして活動。2005年にはフル・アルバム『The Waiting Room』も発売した。エマノンとしての活動の一方でソロとしての活動もスタートし、2006年にはソロでStones Throw Recordsと契約。同年リリースしたソロ・デビュー作『Shine Through』は、ヒップホップをベースにしつつ、ブロークンビーツ、ダンスホール、ラテンまでさまざまな要素を取り込み、ジョン・レジェンドの名曲“Ordinary People”をスペイン語でカバーするなど歌への比重を強め、2010年にリリースした2ndアルバム『Good Things』では完全にシンガーへと転向。ソウル・ミュージックへの憧憬を表したレトロなサウンドや、元ラッパーならではの歌詞などが高く評価され、特にそのブルージーな歌声が紡ぐ“I Need A Dollar”はイギリスで最高2位になるなど欧州を中心に大ヒットした。
2013年には大ヒットを記録したアヴィーチー“Wake Me Up”への参加でさらに知名度を上げ、同年8月にXIX Recordings/Interscope Recordsとのメジャー契約を発表。ヨーロッパでは11月に、アメリカでは2014年3月にメジャー・デビュー作『Lift Your Spirit』がリリースされた。」
...なるほど、やっぱり元ラッパーなんだ。しかもパナマ(パナマ運河工事にジャマイカからの労働者が多く訪れて以来レゲエが盛んな土地)の血が入ってる。道理でサンプリング感覚がヒップホップとかレゲエのそれだと思ったんだよな!
彼のアルバムからのシングルカット Aloe Blacc - The Man
の元ネタはElton John - Your Song
だし、収録曲Love is the answer は(多分だけど)Dennis Edwards - Don't Look Any Further ft. Siedah Garrettが元ネタだろう。全編通じて昔の音楽への傾倒と愛情を感じる好作品でした。
一言リコメンド「ダニー・ハサウェイもテディペンももう居ない。しかし我々にはアロー・ブラックがいる!」
とにかくなぜか日本では流行ってないみたいな扱いになってるR&B~ソウルミュージックはD'Angeloが15年ぶりのアルバムを出したり、Sam Smithも素晴しいバラードを連発した豊作の一年だったと思います。
Sam Smith - Stay With Me
ヒップホップではWu-Tang ClanのA Better tomorrowも印象深い。
Wu-Tang Clan - A Better Tomorrow
しかしソウル豊作の背景にはファーガソン黒人少年射殺事件など、アメリカを揺るがせているヘイトクライム多発という社会問題があったのかとも思います。人種差別のない世の中への音楽家たちの願いが、先人達の魂を呼び戻したと思うと複雑ですが、米国人ならぬ私が言えるのはいい音楽をありがとう!です。Michael JacksonとPharrellの作品は…うーんそのうち良く聞こえだすといいな(笑)。
No.7 Arca - Xen
またレゲエじゃない!でもいいものは(省略)。
しかし、いいと感じることは出来ても他ジャンルの方のことは良く知らないのでCinra.netさんの素晴らしい文章を引用して紹介いたします。
「ARCA(アルカ)。まだその名にピンとこないという読者もいるかもしれない。方舟、中世のスペインやイタリアで用いられた貴重品箱、あるいは貝の名前などの意味を持つ(実際にはそのどの意味でもないかもしれないが)ARCAを名乗るのは、ベネズエラはカラカス出身、現在はロンドンを拠点に活動する若干24歳のトラックメイカー、アレハンドロ・ゲルシ。今エレクトロニックミュージック界隈において、最も注目を集めている「超大型」のルーキーだ。プレス資料には「Aphex Twin以来の衝撃!」というコピーが書かれているが、彼はこれまで正式なデビューアルバムすら発表していなかったのだから、名前を知らない人がいても仕方がない。しかし、特にここ2年ほどの彼の驚くべき躍進と現在の注目度を知れば、件のコピーがそうそう大袈裟なものにも思えないはずだ」
レゲトンにエレクトロニカをぶっこみ、最後にダブ注入したかのような音楽も凄いが、新日系二世のJesse Kanda君制作のビデオがまたヤバイんだな。
一言リコメンド「なんじゃこりゃあ!(ジーパン刑事ボイス)今年一番の衝撃度!」
Arca - Thievery
No.8 The Bug Angels & Devils
またレゲエじゃない!でも(省略)
The Bugさんの紹介にはBEATNIKさんのすばらしい文章を引用させていただきます。「ウォーリアー・クイーンをフィーチャーした「Poison Dart」が大ヒット・アンセムとなり、ザ・バグ(The Bug)ことケヴィン・マーティンにとっても大きなターニング・ポイントとなった『London Zoo』(2008)では、ロンドンのアンダーグラウンド社会に訪れる未来をディストピアとして描かれていた。その後ロンドンからベルリンに移住したザ・バグことケヴィン・マーティンは、そのコンセプトをさらに拡大させ、世界崩壊後に訪れる絶景を描き出した6年振り待望の最新作『Angels & Devils』を完成させた。
タイトルが示唆する通り、光と闇という明確なテーマが追求された今作。アルバム前半にはグルーパーことリズ・ハリス、インガ・コープランド(ex ハイプ・ウィリアムス)、ミス・レッドといった女性ヴォーカリストたちがフィーチャーされ、フライング・ロータス作品への参加で知られるゴンジャスフィ参加曲を境に、後半では、先日ビョークが参加した最新作を発表したばかりのデス・グリップス、長年のコラボレーターであるフロウダン、グライム集団ロール・ディープ所属でハイピッチの特徴的なフロウを炸裂させるマンガ、前作でも活躍したウォーリアー・クイーンが参加した超攻撃的トラックが続く。またゴッドフレッシュ、イェスー、ナパーム・デスでの活動で知られるジャスティン・ブロードリックがギターで参加。アブストラクトで浮遊感すら漂う前半と強烈なほど暴力的な後半とのコントラストの中で、マッシヴアタックの名作『Mezzanine』を彷彿とさせるヒリヒリとした緊張感と官能性、そして陰鬱な雰囲気を凌駕する高揚感が同居する」
レゲエファンの皆様におかれましてはDaddy Freadyをフィーチャーした"Kill them"とFlowdanをフィーチャーした"Louder"だけは是非聞いてみて欲しい。ジャマイカや日本とは全く違うヨーロッパ特有のダンスホール・ミュージックの進化を感じます。でもこんなゴリゴリの最新電子音楽がKing TubbyとかAugustus PabloとかWackiesのサウンドにも聴こえてくるんだよな。俺が難聴なだけかもしれんが。
The Bug - "Kill Them / Louder"
一言リコメンド「マイクとサンプラーとVibes一本勝負のざらざらロマン!」
No.9 V.A "GUSSIE PRESENTING THE RIGHT TRACKS"
やっとレゲエが来ました!こちらは80年代後半から90年代前半にMusic Worksレーベルを立ち上げ、J.C Lodge"Telephone Love"やShabba Ranks"Mr. Loverman"などをプロデュースし、時代を象徴するプロデューサーとして大活躍するGussie Clarkeさんが新進気鋭の若手プロデューサーとして活躍していた70年代の作品を集めたコンパイル盤です。え、これを10代とか20代前半のときに?という才能のきらめきが素晴らしい。ちなみに若手時代にプロデュースした最大のヒット曲はMighty Diamonds "Pass the kuchie"です。てかそのあたりは全部今もどこかのダンスでプレイされ続けるクラシック中のクラシックですよね。
個人的なオススメはJacob Miller - Girl Don't Come
とHorace Andy - Delilah
前者はSandy Shaw、後者はTom Jonesのカバーだね。この時代のジャマイカ人ミュージシャン・プロデューサーで白人ミュージシャンの曲をカバーする人って案外少ないのですがガッシーさんは人種なんて気にせずいいものはどんどん取り入れる人だったんでしょうね。いいと思います。
このシリーズからはボックスセットの7インチシングルも出ているので、未チェックのレゲエ・コレクターはぜひレコ屋に!
一言リコメンド「バー経営者の皆さん。音にうるさい常連さんをうならせる曲は、あります!」
No.10 リクルマイ "きたぐにのはる"
こちらの作品の紹介もリクルマイさん公式サイトより引用させていただきます。
「リクルマイのルーツである東北。その東北の地で歌い継がれた民謡と、レゲエのモンスタートラックとが奇跡の融合を果たした!リクルマイの新境地「民謡レゲエ」4曲と、3年前に東日本大震災で未曾有の被害にあった故郷に捧げる渾身の書下ろし曲「きたぐにのはる」(M-5)。
ライブの定番曲となっているこれらの作品、民謡レゲエで場内を笑いの渦にまきこみ、「きたぐにのはる」では涙をさそう。リクルマイの「今」を如実に伝えるものとなっている。
演奏はLikkle Mai Acoustic Band。
レゲエ界のベテランによる脂ののったプレイが骨子となり、二人のゲスト奏者・大熊ワタルのクラリネットと、こぐれみわぞうのチンドン太鼓(共にジンタらムータ)が躍動感あふれる輝きを本作に与えている。
MIXはお馴染み内田直之。
レゲエファンだけの手元に届けるだけではもったいない、笑って踊ってホロリと泣けるミニアルバム全5曲!」
もうライナーノーツが素晴しいので俺が余計な文章を書く必要もないですけどね、やはり2011年の東日本大震災~東電福島第一原発事故を経て、岩手県宮古市出身の彼女が悲しみも憂いも乗り越えて、笑顔で歌うその姿こそが我々の希望なんですよマジで。
一曲目、"秋田音頭"はSLENG TENG Riddim、二曲目、"相馬盆唄"はDuck Riddim、三曲目の"チャグチャグ馬っ子"はBam bam Riddim、4曲目"ノンキ節"はPunnanny Riddimですね。ええ、自分トラック野郎ですから!
唯一あれと思った点はミックス・マスタリングが今の音じゃないところ。悪いって言ってるんじゃないですよ!ローエンドはこのくらいふっくらと余裕がある方がボリュームを上げたときにいい音になるんですよね。それは重々存じております。
でもやっぱし今年一位のKalbataさんや、去年素晴しいアルバムを出していたThe Lionsは近年流行と言えるベース強め、コンプ感強めながらも、ふっくらとした生音サウンドを作ることに成功していたわけで、そこと並べて聴くとこの作品のダンスホールトラックはもうちょっと迫力が欲しく聞こえてしまいました。でも何度も言いますけどそれが悪いって言ってんじゃないですよ!それに自分やっぱり難聴かもしれません!
一言リコメンド「音質とかいう奴は無粋!彼女の存在自体が希望!みんなを笑顔にする歌!」
"秋田音頭" アラゲホンジ × Likkle Mai (リクルマイ)
というわけでいかがだったでしょうか?
もしこのブログが参考になったという方が居たら幸いです。また、よかったらHibikillaのライブにも遊びに来てくださいね。私のライブ情報リリース情報はオフィシャルサイトをご覧ください。
2015年も皆様が良い音楽に出会えることを願います。俺もアルバム出したいがどうなるだろうか。JAH!