警察には死亡診断書の提出を求められ諸事関連した内容に関する質問を受ける。その中では
怪死・変死ではなく死体検案書作成がいらなくなったことを告げられていわゆる事故死との
最終的な判断となったようだ。保険に関しては生命保険についても一応の報告を証書の提示に
おいて済ませる旨も担当刑事との連絡のなかで伝えられた。
 その間肉親は担当介護士と医師に礼を述べたり集中治療室の皆に挨拶をしていた。この間
40分ほどを二人は経て安置室に案内された。こちらは地下の一室で準備もできたところで
小窓を開けて父の顔を見ることができた。
 何故治療方針の変更時に呼ばなかったのか、最期に声をかけたかったと再び訴える肉親の
言葉には正対して聴くことができず背中で聞いていた。父の当時の様相といえば侵襲による
譫妄状態ながら看護士に対し殺せという言葉を投げかけておりそれを聞かせるのは無碍なる
振る舞いに過ぎないと今では思っている。
 父の顔には火傷によって暗く焦げ茶色になった部分と真皮まで達したのか多少赤みを帯びた
部分が斑に見えて不謹慎ながら彩色の残る兵馬俑の兵士の顔が思い浮かんだ。と、同時に
今もずっと思い続けている食事を終えて愛飲の酒も入り気分良く当日も好みの番組を視ようと
居室でストーブに点火した瞬間の父の思いはどうだったのかということ。平凡ながら幸福で
いたと思う状況が一転する瞬間に自らは転た寝である。何故その時にガスボンベの取付を
代わりにできなかったのだろうか。と。
 迎えの車を待つ間に関係先への連絡と葬儀について自らの考えとして遺体の状態と高齢者が
親戚には多くショッキングなことでもあり我々二名で迅速に済ませたいと伝えたところ意外
にも合意を得られた。
 午前に来院して既に数時間が経ってホンダのストレッチSUVが入って来た。運転者に
法要について確認をする。お寺の都合がつき次第親族のみで行うこととその時まで安置を
お願いをした。葬儀社の会館に着く間に斎場の都合を聴いておくので到着して相談しようと
いうことになる。車外でお寺さんに電話で事情を述べると了承されたので一旦落ち着きを
得た。今日一日で一番安らいだ瞬間であった。

⭕主導的に何かできるほど力量のない階層でもないので関係先との都合次第なのであった。
 寧ろ仕切りは葬儀社に任せて希望を伝えて当方の事情についても勘案してもらえば、後は
 日取り等考え合わせて葬儀の予定などが決まる。
 会社によっては座布団一枚からお金がかかるので参列者がある場合は会葬御礼や会食の
 段取り他であっという間に支払額は七桁まで至り、他にお寺さんにも六桁のお金がかかる
 と想像してもらうところとなる。
⭕自身のこの度の経験では併せて700,000円弱。かかったなあと感じたのが遺体の
 搬送で高速代込みで80,000円強とあったこと。

写真は父親の愛飲した日本酒。火災直後から手つかず。