承前…
実況見分の最後に消防より
 隣家・近隣の住宅に燃え広がらず、かつ被害が2部屋で終わったのは不幸中の幸いと考えら
その最大の要因はカーテンをつたって炎が天井に至る時点までに初期消火をとどめ消防に連絡
したのが結果的に早い鎮火につながったという行動と、火災報知器の正常な稼働という設備面
での双方に尽きる。何事も速い行動・決断が重要という結論であった。
 そして時間と心理的負担にならなければ消防本部に罹災証明(いずれ保険等の申請に必要)
を請求するときに予防の部署を訪ねてほしいとも言われた。
 心は晴れないが気分に応じて行動を変えるわけにはいかず、急ぎ病院へと向かう。父に関し
ては前夜から集中治療室の手厚い治療・看護をうけており進展を期待したが、看護士から既に
安静にできないほどの痛みに侵襲されており一部拘束状態ですの一言…悪い進展だった。
 一般的な皮膚移植を経て回復という治療方針を望んだが、移植に至るまでの道程は厳しい
痛みとの戦いであり、広範囲に及ぶ火傷の治療ではまずこの期間に体力を費やして消耗し
死に至るのだと後刻説明を受けた。確かに両手は治療箇所に触れないよう固定されている。
目は虚ろでこちらの声には反応がない。既にモルヒネを点滴されていたのだが何かしら呻き
続けている。酸素吸入も昨日から実施され急激に回復への期待は疑問へと遷ろうのである。
 
 医師はこの分野では地域でもエキスパートとされ救急が近隣の大病院ではなく半時間は
かかる更に大きな総合病院へと取り計らってくれたことに感謝しつつも、治療方針は早くも
緩和治療による様子見となる公算に一転の現実を受け止められずにいた。もう帰ろう。

写真は宿泊先での気になった消火器(意識の底に使えなかった消化器の件)とストーブに合う
形式のカセットガスボンベ