火災の恐ろしさは鎮火した後でもその場面を目撃してしまうと長期に亘り記憶の攪乱を

起こしてしまうことです。今でも薬やアルコールなしでは寝付けないほどの経験です。

 父は残念ながら出火から一週間後に心不全を主因とした多臓器不全で亡くなりましたが、

実際のところ出火した日に死亡することが約束された運命でした。頭部(顔面も含む)と背中

の二度の熱傷による影響で酸素吸入も離脱できず、肺をはじめとして全身から水分を排出

出来ず入院後二日目から熱傷由来の侵襲で痛みの緩和を目的とした治療に方針を変えざるを

得ず出火当日深夜に言葉を交わしたのが最後となりました。

 いかに初期消火を果たしたとしても出火時点のほんの一秒たらずで余命が決定した次第。

詳細は後刻となりますが高齢者に火元の管理は困難であるという事実を今もって確信し、

それを皆さんに知悉していただきたいのです。


出火後に刑事さんに記憶が新しいうちに実際あったことを聴取したいとの意向を受け気温の

下がるなか繰り返し聞かれました。数回同じことを話すうちにすこしづつ異なる点を述べて

いたのでそこを更に確認されて結局寒空に3時間路上で事情聴取に応じました。