こういうのは気持ちが盛り上がっている最中に書くのが良いというのが持論です。

一気に3つ目にまいります!

 

キャラクター紹介の続きを。

 

【ルース】

キャラクターの中ではアベルに次いで年長。

お兄さん的な役割を持ちつつも、

「ひとりで寝るのが寂しい」という一面を持つルース。

ルースには双子の弟・ロイがいて、

ルースはなんでもできる器用な子でしたが、ロイは失敗が多い。

そして、ママはそんなロイに失望や怒りを向けることなく平等に扱おうと心がける人なのですが

それがルースとロイにとっては逆に傷になっていた、というのがなんともリアル。

ルースはクワイアへ入るも変声期を迎えて卒業となるのですが、

なんとクワイアに入っていないロイが天使になってしまう。

そこから、なんでもできる、物分かりのよい兄であったルースに大きな変化が訪れます。

変化は様々な衝突を生むけれど、

一方で傷つけあわないようにと気を遣いあってきたママ、ルース、ロイはようやく

心からぶつかりあうんですが・・・このシーンがなんとももう・・・

痛みと向き合ったことで、傷ついているギャビーにも向き合えたルース。

そしてギャビーは、そんな、ひとりで眠るのが嫌いなルースが戻ってきたときに

自分のベッドを半分貸そうと考えるわけですが、

”そこには何の物語もない 依存もゆるしも罪もない ただのひとつの清潔なベッドだ”(5巻より)

深い・・・この言葉もベスト5に入るくらい好きです。

 

【アル】

とある目的があってクワイアに入ったアルの正体は王子様。

アルの魅力は、「天使になることが目的ではない」からこそ

俯瞰した視点でクワイアの少年たちを見守っていることにあると思います。

クワイアの少年たちが純粋に天使に憧れているだけではなく、

様々な葛藤を抱えているということにも気づいていましたし、

アルが天使という考え方を

”大人達の無意識の良心”(6巻より)

と表現したのですが、これはきっとアルでないと言えない台詞です。

アルは天使には決してならない、なぜなら歌でクワイアに入ったわけではないから。

だからこそすべてを冷静に見ることが出来る。

アルの存在はギャビーにとって救いだったと思っています。

 

【イーノク】

私が一番好きなキャラクターです。

初登場時から、周囲は彼のことを「優等生」と表現していました。

決して感情を激しく表に出さない、いつも穏やかに微笑んでいる。

何よりイーノクが他の天使候補たちと大きく異なるのは、

他の天使候補たちはママから愛情を得られていないと苦しんだり、ママの顔も見たことがなかったり、

ママとの間に確執があったり、なんらかの悩みを抱えているのですが、

イーノクにだけはその悩みがない。

むしろイーノクの家庭はパパ、ママ、ふたりともイーノクを本当に大事に大事に育てていて、

その愛情を受けてイーノクも家族思いの少年に育ち、

週末はいつも家に帰ってみんなで手料理を楽しみ、ソファで3人一緒にあたたかく眠ったりする。

そしてイーノクはそうやってまっすぐに育ったからこそ、

穏やかに神様を信じ、

天使になることを純粋に純粋に憧れているのかと思ったのですが、

最後にイーノクが辿り着いたのは

「だれかを救いたい」という気持ちだったんですよ・・・

だからこそ私は、イーノクはむしろ天使にならず、

まわりのみんなのことを思いやりながら大人になっていくのかと思っていたのですが・・・

最後にはイーノクは、自分が天使になったことを同室のラザロ以外に告げず旅立ってしまいます。

天使の歌声を、電話でパパとママだけに聴かせて。

この、誰が天使になるかわからないというのは本当に読んでいてつらい展開です。

そんな中、イーノクのパパとママはイーノクがいないときには2人で、

イーノクが亡くなってしまうときのことをいつも考えていたというのも・・・胸が痛い・・・

クワイアのメンバーたちも、イーノクがいつも周りのみんなのことを考えて微笑んでくれたことを思い出して、

イーノクのやさしさを胸に留めてこれからを過ごしていくんです。

イーノクはたくさんのものをみんなに残してくれたんですね。

 

 

・・・と、ようやくキャラクター紹介を終えました。

 

物語を通じて思ったのは、

この漫画のタイトルともなっている「ママ」たちは

決して強い、包み込むだけの存在ではなく、

ママたちにもそれぞれのストーリーがあって

失敗したり、弱さを見せてしまったりする。

けどそれは決してマイナスにはたらくわけではなく、

むしろ少年たちが成長したり、殻を破るきっかけになっています。

それぞれのキャラクターと、ママとの関係をじっくり考えながら読むことができます。

その中に「天使」というこの世界の設定がある・・・

ここが物語の核なのかなと思います。

 

記事としては3つにまとまりましたが、

話しきれなかったことがまだまだあります(笑)。

 

こんな素敵な作品に出会えてよかったなぁと本当に感謝です。

今は試し読みのシステムが普及して、

作品に出会える確率があがったのは漫画好きには嬉しいですね。

 

これからもジャンル問わず「これだ!!!」って作品を見つけるために

貪欲に生きようと思います。

 

まずは売野先生の他の作品を読んでみたいです。