ダンナを美容室に送った帰り道、晴れ着姿の女の子がいた。


「そうか、今日は成人式か」


今年、ひばり弟はやっと成人式です。

それを思ってちょっと目が潤んでしまった。


ひばり弟はひばりが9歳(小3)のときに産まれた。

予定日が10月15日で、ひばり母の誕生日。

ひばりは10月6日生まれだから、同じ誕生日にならないかとわくわくしていた。


10月に入ると、毎日毎日、走って学校から帰っていたことを思い出す。

結局、予定日どおりに生まれたんだけどね。


最初に見たときは、なんか色が赤黒くて(生まれたばかりだから赤黒かったんだよね)ETみたいだと思った。

手をぎゅっと握っていて、そこにたまる糸ぼこりをとってあげるのが楽しかった。

歩くようになってからは、いつも遊びに行くときに連れていっていた。

(連れて遊びに行きなさい!と親に言われしぶしぶだったのが本音)

外食に行って、親達は飲み時間が長いので、いつも二人で歩いて家に帰っていたことを思い出す。


姉というより、親気分だった。

英語を教えたり、数字を教えたり、まぁ、なんせ教育ママだったと思う。


外に遊びに行けば泣かされて帰ってきたり

コケておでこをぶつけてきたり。

頭が大きかったのか、必ずおでこにたんこぶを作る。


1歳の誕生日には、奮発して5000円ぐらいの洋服セットを買ってあげた。


弟が5歳のときに親が離婚したので、保育園の迎えはひばりがよく行っていた。

引越しをしたので電車で中学まで通っていたので、急いで帰ってきて、保育園に迎えに行き、軽くご飯を食べさせて、親が帰ってきたらまた電車で塾まで通っていた。


今、思えばなんてめんどくさいことをしていたんだろうな。


小学校に通うようになった頃、ひばりは高校に通うようになって、ほとんど家に居なかった。

学校とバイトで。


ひばりは反抗期で親に会えば、喧嘩ばかりしていた。

その頃、「弟はマザコンなんじゃないか?」と思っていた。


小学校高学年になって、なぜか、引きこもり始めた。登校拒否だ。

原因は未だにわからない。


その頃から、ひばりは弟に怒ってばかりだった。

自分も高校をさぼってばかりいたのに、自分のことは棚にあげて、怒った。


中学もひきこもり。

この頃になると、自分の部屋ができたので部屋からも出てこない。

ひばり母は更年期。弟は反抗期。これがひばりの口癖だった。


家の中は決して良い雰囲気ではなかったな。


時々ひばりは爆発して弟の部屋へ行った。

部屋のドアがはずれたこともあった。

殴り合いの喧嘩をしたこともあった。

もう、すでに大きくなった弟はひばりよりも力が強くなっていて。

何もできないことが悔しくて、どうしていいかわからなくなって、よく泣いていたよ。

今、こうして書いていても当時のことは泣けてくるね。


きっと、誰よりも弟が一番辛かったんだろうけど・・・。


その次に辛かったのはひばり母だろうなぁ。


ひばりは、勝手気ままにやってきたからな。

職を変えたり、男を変えたり、家を出たり・・・


そんな日々がすぎて、やっと仕事を始めた弟。

最初の頃は、またひきこもりが始まるんじゃないかとドキドキしていた。心配だった。


それが今では、彼女もできて、仕事もして、免許もとって、一緒に酒も飲んで。


大人になったなぁ・・・


自分の成人式なんて、大した実感もなかった。

でも、今年の成人式はなんだか感慨深い。



弟よ。

これからも辛いこともあるだろう。

自分に甘えるな。人に甘えろ。

楽しいこともいっぱいあるだろう。

一緒に楽しもう。楽しみはみんなで味わおう。


それから、お母さんには心配かけるなよ。

姉ちゃんもなるべく心配かけないようにがんばるからさ。

お互い、がんばろうぜ。




こりゃ、絶対、弟の結婚式は号泣だな(笑)

とにかく、成人、おめでとう。