【ニューヨーク=吉田圭織】国連のグテレス事務総長は4日、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化で学校に通えなくなる子どもが増え、世界で約2400万人の子供や若者の教育が中断される可能性があるとの分析結果をまとめた。世界の格差を解消するには「教育が不可欠だ」とし、財政面も含めて各国に対応を求めた。

国連が出した報告書によると、コロナの感染を防ぐための学校休止で、世界190超の国・地域で16億人の子どもや学生に影響が生じた。世界の就学人口の94%に相当する。特に低所得層や収入の乏しい新興国では99%に上るという。学校閉鎖の長期化や家計収入の減少などを通じ、2400万人の子どもや若者が「来年以降、学校に通えなくなる」と試算した。

グテレス事務総長は「オンラインやラジオなどを通じて授業が提供されているが、多くの児童や生徒は授業を受けられずにいる」と述べた。その上で「新型コロナが抑制されれば、生徒たちを学校に戻すことを最優先課題に置いてほしい」と各国政府に訴えた。

国連によると、コロナの感染拡大前から中所得の国と低所得の国では年間の教育予算で1.5兆ドル(160兆円)の格差があったという。この差はコロナ禍で開き続けており、教育予算の維持・増加のために国際的な援助が必要だと強調した。