東儀秀樹氏講演『雅楽のおもしろさと可能性』 | ヒズモのブログ

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1月の九州市民大学の講演は雅楽師の東儀秀樹(とうぎひでき)さんでした。難しいお話なのかなあと思っていたら、全く違って本当に面白く、雅楽というもののわかりやすい紹介とその楽器を使っての素晴らしい演奏でありました。
 
九州市民大学HPにある東儀氏のプロフィール紹介文です。



雅楽師
東儀 秀樹

雅楽のおもしろさと可能性

 1959年東京都出身。奈良時代から続く楽家の家系に生まれる。父の仕事の関係で幼少期を海外で過ごし、ロック、クラシック、ジャズ等あらゆるジャンルの音楽を吸収しながら成長した。高校卒業後、宮内庁楽部に入る。宮中儀式や雅楽演奏会などに出演するほか、海外公演にも参加。一方で、ピアノやシンセサイザーとともに雅楽の持ち味を生かした独自の曲の創作にも情熱を傾け、’96年アルバム『東儀秀樹』でデビュー。同年に宮内庁を退職し、フリーランスで活動を続ける。映画をはじめ、テレビ番組やCMにも楽曲を提供し、また雅楽師として音楽の歴史、バラエティなどのテレビ番組や、NHK大河ドラマにも出演するなど、各メディア・海外での活躍もめざましい。

 

はじめに、「この講演が雅楽を面白いと思ってもらえるきっかけになれば嬉しい」と、立ち姿がスマートでかっこいい東儀氏の言葉で始まりました。以下、東儀氏の講演内容から抜粋して記します。

 

「雅楽は日本の伝統音楽で1400年前に大陸からもたらされました。遣唐使から仏教の音楽として入ってきました。ペルシャからの音楽も含まれています。仏様にささげる西方浄土をあらわすシルクロードの音楽であり、世界で唯一、日本が継承しているのです。当時の日本は神道の国だったのですが、仏教を受け入れ共存しました。日本人の心、性格が受け入れたのだと思います。」

 

「701年の大宝律令の際に出来た歌舞の司がそのまま継承され宮内庁楽団になっています。その楽器も音色もほとんど変化せずそのまま現代に伝わっているのです。

 

「雅楽には“演奏”、“歌”、“舞”があります。今日は雅楽の中心的な役割である管楽器の代表的な三つを持ってきました。「笙(しょう)」、「篳篥(ひちりき)」、「龍笛(りゅうてき)」です。」

 

  

<笙(しょう)><篳篥(ひちりき)><龍笛(りゅうてき)>

(画像は東儀秀樹オフィシャルウェブサイドよりお借りしました)

 

(しょう)…17本の竹を束ねたような形をして、竹の根元に金属のリードが付いており、息を吹いたり吸ったりすることでそのリードが振動して音となります。その音色は“天から差し込む光”を表すとされています。西洋のパイプオルガンやアコーディオン、ハーモニカのルーツであるといわれています。」

 

篳篥(ひちりき)…竹の筒に蘆(あし)を削って作ったリードを差し込み息を吹き入れて音を出す縦笛です。細いひも状にした桜の木の皮を巻き付け漆で仕上げてあります。主旋律を担当する楽器で、なだらかな抑揚をつけながら音程を変えるのが特徴です。音域は狭く、古代から音色は“人の声”つまり“地上の音”を表すとされています。西洋のオーボエなどのルーツといわれています。ちょっと漢字に詳しい人はこの漢字を“たんす”と読まれることがあるので注意してください。(笑)」

 

龍笛(りゅうてき)…主に副旋律を担当し、天と地の間を行き交う“龍の鳴き声”を表しているとされています。」

 

「管楽器のこの3点の合奏は雅楽に必須の基本表現であり、琵琶や琴は装飾的なものです。」

 

「大昔は貴族の中のみで演奏された雅楽は、平成の今が一番聴ける時代なのです。」

 

「源氏物語や枕草子の中にこの楽器が出てきて、清少納言は“篳篥はいとかしがましく、秋の虫といはば轡虫(くつわむし)などの心地して…”などと嫌って書いています。タイムマシンがあれば、清少納言のそばで篳篥を吹いてやりたい!と思います。(笑)。古典を読んで、そこに出てくる楽器の音を想像できるって楽しいと思いませんか?」

 

「雅楽の楽器は外国に誇れるいろんな楽器のルーツです。外国人は日本の文化にふれたいわけで、英語でしゃべってほしいわけではありません。日本の文化を知っている人、その情報を提供してくれる人が求められています。日本人に必要なのは語学力ではなく文化力なのです。」

 

雅楽を知ってもらいたいと活動していますが、その種の巻き方をご紹介します。小中学校へ講演に行ったら、“みんな、嵐好き?”と始めます。実際、私はジャニーズの嵐のジャポニズムに参加しています。そして、篳篥でアンパンマンのテーマや嵐の曲を演奏します。これで、つかみはOKです。雅楽というものを知りたくなる下敷き、扉を作るのが大事だと思います。NHK大河ドラマ“篤姫”で孝明天皇役だった等ということも話に入れています。楽しく雅楽の入口に入ってもらい、自然と広まっていけばいいなと思っています。」

 

「では、篳篥で一曲演奏しますね。“ジュピター”です。」

 

 

「私は誰よりも美しい篳篥を吹こうと思っています。そして、演奏方法は古典の方法を守っています。篳篥が生きる使い方をします。」

 

「音楽は人に無限の自由を与えます。好きなものを好きといえばよいのです。次の曲はピノキオから“星に願いを”」

 

「若い頃は外国に住んでいて、日本の代表としてみられました。そうすると正義感が高まり、日本の事をよく知り、語れる人間になろうとします。“日本人が日本の文化を背負うことは意義深い”と考え、19歳で宮内庁学部に入ったのがスタートで7年間、皇居に通って修行しました。多分、才能があった(笑)。」

 

音楽は人類共通の楽しみです。言語を超えて楽しめるものです。」

 

「次の曲は“トゥーランドット・誰も寝てはならぬ”」

 

退場後、戻って、「この美しい日本語の叙情歌が小学校の音楽教科書から削除されていて残念です。“浜辺の歌”。」

 

素晴らしい講演と篳篥演奏でありました。四曲もの篳篥演奏の素晴らしさに酔いしれました。東儀氏の演奏はYouTubeにたくさんアップされていますので、ご興味のある方は是非聴いてみてください。

 

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

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