彌織side +゜
ずっと昔…。
本当にずっと前にあったことがある…。
けれど、名前が思い出せない……。
誰……?
あたしの顔を見て驚いている……。
何…?
―――――――――――――――1時間前
「彌織ーっ!また明日ねっ!」
「うん!ばいばいっ!」
あたしは友達の千鶴と別れた。
千鶴は昔からの友達。
今では同じ中学で同じクラスで同じ部活に所属している。
1回もけんかしたことがない。
千鶴がいなくなることなんか考えたこともなかった。
絶対にいつも一緒。
今日だって千鶴とおそろいでいろいろ買い物したし。
そんなことでほくほくしていた私にいきなり……。
「彌織?」
誰かに呼び止められた。
…誰…?
しばらくあたしの脳は思考停止していた。
………っ…誰だっけ……。
…つい最近も会った気がする……。
すれ違っただけだったっけ……?
…。
思い出せない……。
近寄ってきた……。
「み…おりだよな…?」
「…あ…は、い…。」
誰……?
てか、なんでそんな驚いた顔してんの…?
「ちょ…ちょっと待って!?どなた様でした…っけ…?」
「……そうだよな…。俺のこと覚えてるわけ…。」
「…すみません…。」
「全然平気。ま、ここで自己紹介しておくよ。」
「俺は、」