術後2年目、

本来だと3ヶ月おき(年4回)に検査をすべきなのですが、

今年はバタバタしていて1回飛ばしてしまいました。

しかもCTの回を。

血液検査(腫瘍マーカー)も何ヶ月もしていません。

転院するまでと、

転院後初診時にしたCT予約が何ヶ月も先しか空いてなかったからです。

 

この待ってる間がちょっと不安になります。

はやく結果が出て「問題ありません」と言われたい。

 

結果が出る前に、懸念を書いておきたいのですが、

実は転院前の病院の手術にちょっと気になることがありました。

 

過去記事にも書きましたが、

大きな病院で99.9%良性の卵巣嚢腫だと診断されました。

 

しかし腹腔鏡手術のあと、

腫瘍も思っていたより大きく、

粘液もサラサラした状態でもなく、

開いてみたら悪性腫瘍だとわかりました。

 

そして卵巣と子宮とその周囲の組織を全て取る、

全摘出手術をすぐにもう一度することになったのです。

 

手術してみてみないとわからないというのはよくあることのようです。

不安はそこではなくて、

最初の腹腔鏡手術の後の入院中の回診のことがずっと気になっていたのです。

 

 

当初”良性腫瘍”として行われた腹腔鏡手術が終わった後、

今回手術を担当させていただきましたと挨拶に来たのは、

いつも診察してくださってるA医師ではなく、

若い研修医でした。

 

ああ、良性だから研修医に練習させたのか、とその時私は解釈しました。

だったらひとこと事前に言って欲しかったな、と思いました。

良性腫瘍だし、指導医も側でついているから手術させたのだろうと思いますが、

事前に承諾を取って欲しかったと重ねて思いました。

研修医が同席したり指導医の元で処置をするのは通院時に告げられますが、

手術を執刀するのはA先生だと思っていました。

研修医が担当するなんて聞いていませんでした。

研修医なんか嫌だと拒否する人も多いから、

事前確認は取らずに事後報告なんだろうかとちょっと不信感を持ちました。

 

しかしその時は私も、

99.9%良性だという診断を信じていましたので、

それ以上は気にしないようにして研修医に笑顔でお礼を言いました。

 

そしたら。

研修医は目をそらしました。

 

なんか、気まずい空気が一瞬流れ、

あら?と違和感を感じました。

型通りのことを聞いて、頭を下げて退室されましたが、

終始一貫してソワソワした感じで居心地の悪そうな顔をしていました。

 

愛想が悪いというよりも、

目を合わせるのを避けてそそくさと終わらせた感じです。

研修医だからって恥ずかしいとか会話が不慣れとか、

いくらなんでもそれはないだろうに、

なんか変だなとその時心がざわざわと不安になったのを覚えています。

 

 

それとは別に、

婦人科部長を筆頭に担当医や研修医がぞろぞろやってくる

総回診のようなものがありました。

廊下の向こうからだんだん近づいてくる様子を感じ、

わープチ白い巨塔みたい、などと思って待っていました。

 

そして私のいる大部屋の前まで来た時、

空いていた部屋の扉が突然閉められました。

部屋の前の廊下で医師たちが立ち止まって、

なにやら報告をしているようでした。

 

他の部屋では入室前に扉を閉めて報告などをしている様子はなかったので、

なにか別の緊急搬入があって足止めされたとか、

私と同室のもう少し重篤な治療入院をしている人の経過報告とか、

なにかちょっと複雑なあるいは深刻な話なのかなと思いました。

 

私は一番扉に近いベッドだったので医師たちの声が漏れて聞こえました。

 

「xxxさんですがxxxでしたがxxxしたところxxxだったためxxxです」

「えっ診断xxxでxxxして?で、xxxだったの?」

「はい、xxxでした」

「・・・・・」

 

全て聞こえたわけではありませんが、

予期していたのと実情が違った、予定通りに行っていない、など、

報告者が上司に経緯と結果を説明し、

上司が「えっ?」と少し驚いて再度聞き返し、

上司の確認口調がちょっと非難がましい強い口調だなと思いました。

それに報告者がハイと答えたあと一瞬沈黙が流れて、

まずい空気の気配を感じました。

 

報告者は、私も担当してもらっているA医師の声でした。

上司っぽい口調の人は、当時の産婦人科部長でした。

 

ああ、A先生怒られてるのかなと私は思いました。

診察の時より緊張した口調で診断と処置と結果など経緯を上司に報告して、

なんかちょっと上司の不満を買ったっぽいイメージをしました。

 

そして。

 

部長先生と以下A医師たちが私のところへやってきて、

笑顔で「手術お疲れ様〜痛みはどうですか?」など型通りのことを聞き、

はいお大事にね〜と10秒くらいで去りました。

その時、私と上司の顔を行き来するA医師の緊張した表情が印象に残りました。

 

 

そして結果的に悪性だったと言われ、

2度目の手術で全摘をすることになりました。

見立てが誤っていたため処方した薬も結果的に役に立たなかった、

無駄なお金を使わせてごめんねとA医師に言われました。

たまたま緊急用に空けてる手術室の枠があるから、

今回は当月中にすぐ手術できるよ、と。

 

 

そして2度目の手術の後、

病理検査の結果が出た時です。

 

A医師は言いました。

「今回は念入りに調べたから」と。

病理は腫瘍を2mmにスライスし入念に検査するし、

開腹手術時も臓器をあっちこっちひっくり返してよく見たから、と。

 

転移はないか手術中に今回はしっかり目で確認もした、と。

 

今回は研修医ではなく、A医師が手術をしたんだなと思いました。

あっちこっちひっくり返して、と言う時にA先生は手を動かしていたので、

今回は研修医ではなくご本人が実際にやったことなのだろうと推察しました。

 

んーーー。

 

ふわふわしていた不安がまとまりました。

 

1度目の腹腔鏡手術の時に研修医が執刀したのを後から知らされたこと。

その執刀医が術後目を合わせなかったのが妙に気になったこと。

そして、

総回診でヒソヒソやってたのは私の報告だったのではないかということ。

 

A医師の見立てでは良性腫瘍で手術も緊急性が高くなかった。

だから3ヶ月ほど手術日程も先延ばしにして、

その間に腫瘍に効くかもと診断ちがいの薬を飲ませた。

そしてそのまま良性腫瘍のつもりで研修医に執刀させた。

ところが悪性だった。

閉じた腹をもう一度開いて今度はA医師が全摘出手術をやった。

あっちこっち内蔵をひっくり返して念入りに見た。

 

私は今もずっと不安です。

 

最初から悪性だとわかっていたら研修医に執刀させたのか?

 

研修医は良性腫瘍のつもりで執刀しただろう、

指導医もそのつもりで指導しただろう。

 

良性腫瘍と悪性腫瘍でやり方や留意点に全く差はないと言えるのか?

 

ではなぜ2度目の手術はA先生が

「あっちこっちひっくりかえして入念に」臓器を見たのか?

 

はっきり思っていることを書こう。

 

良性腫瘍と思って研修医に練習させたけど、

未熟な技術が原因で転移の可能性が拡大するリスクが拭えないことを、

誰よりも病院側がわかっているのではないか。

 

不安な患者の言葉に訳して書こう。

 

良性だとタカをくくって研修医に練習させたけど、

出してみたら思ってたより悪くて、

案の定病理検査もクロで、

大丈夫だとは思うけど腹腔鏡手術の処置時に体内で細胞が拡散され、

それが元となって付近の臓器に悪性腫瘍が転移してるかもしれない。

って、

病院が不安に思う要素があったんじゃないですか?

 

出してみた卵巣を見てやべえかもとわかったから、

研修医は目も合わせなかったんじゃないですか?

失敗してたらどうしようと不安だったんじゃないですか?

総回診の時にすでにわかっていて、

扉を閉めて(ちょっと開いてたけど)ヒソヒソ報告し、

部長先生も「えっ診断xxxでxxxして?で、xxxだったの?」と

強い口調で聞き返しそのあと沈黙したんじゃないですか?

指導医は術後ケアをしっかりやっとけよ、と。

そしてA先生が2度目の手術で自ら内臓をめくってまで見て調べ、

「しっかり見たからね」と念押ししたんじゃないですか?

 

 

まだ検査結果は出ていません。

でもいつもより少し間が空いたのでちょっと不安です。

 

だからいま書いておきますね。

 

私は覚えています、

ありがとうございましたと笑顔の私から目を背けた執刀研修医の表情を、

扉の向こうのヒソヒソ声と部長先生の「えっ?」という強い口調を、

2度目の手術は緊急用の手術室が直近でたまたま空いていたことを、

そしてあっちこっちひっくり返して入念に調べたとA先生が言ったことを。

 

検査結果がなにもなければ感謝するでしょう。

 

でも5年目が無事に過ぎるまで、

私はこのことを忘れることはないでしょう。