子宮全摘出手術の診断・準備〜日毎のスケジュールなどを書いていきます。

◉診断〜手術日までの準備

片方が卵巣嚢腫になり腹腔鏡手術を受けた後、病理検査で悪性と診断されました。

内膜性の良性の多胞嚢腫で99%大丈夫と言われて楽観していただけに、

粘液性卵巣嚢腫で中身も境界悪性だった事実に愕然。

 

対処法としては、40代で出産予定もないので、

とった卵巣の悪性細胞が広がっている可能性や婦人科以外の器官への転移を防ぐため、

子宮・もう片方の卵巣・大網の全摘出が標準治療となることを告げられました。

残す理由はなく取るデメリットは更年期が早まることとのことで、

全摘出を即決して最速で手術予約を取りました。

前回の腹腔鏡手術の1ヶ月後に開腹手術をすることになりました。

 

腹腔鏡手術では手術前にMRIをとりましたが、開腹手術ではCTでした。

造影剤は使用します。MRIみたいにガンガン音のする閉所に入るわけではないので気楽ですね。

前回同様採血と麻酔科医による麻酔の説明を受けます。

前回は点滴による全身麻酔のみでしたが、

今回は15cmほど切るので痛みを抑えるため硬膜外麻酔がプラスされます。

背中に針を刺して直接下半身に効く痛み止めを流しっぱなしにします。

 

私は普段飲んでいる薬の術前術後の服用と麻酔との関係性について相談しました。

麻酔医は適切な判断をして進言はしてくれますが彼らの権限は術中だけにとどまります。

術前術後は婦人科の担当医が全てを決定しますので、

麻酔医より担当医に電子カルテ上の申し送りをお願いしたり、

担当医に相談する前に麻酔医的見解を確認しておくのに相談は役に立ちました。

 

◉前日に入院

この辺りは腹腔鏡手術の流れと同じです。

入院手続きをしてシャワーを浴び、

下剤を飲んで夜から絶飲です。基本平和でヒマです。

 

◉手術日(術前)

絶食のまま一定の時間から絶飲になります。

今回は少しナーバスになっていたので、絶飲前に担当医の許可のもと安定剤を飲みました。

手術そのものよりも田舎から単身で出てきた母親へのケアでピリピリしてたのです(笑)

手術前には落ち着いてなんの不安もなく淡々と過ごすことができました。

 

1人しかいない2人部屋(空いていた、ツインルームのシングル使用みたいなものですね)から、

術後に戻る回復室(個室でナースステーションの目の前、病院指示なので別途料金は不要)に引っ越ししました。

腹腔鏡手術は小一時間と短いのですが、

今回は3時間はかかるとのことで母親は狭い手術控え室ではなくその個室の回復室で待ってたそうです。

テレビも見れるし疲れたらベッドでゴロ寝しててもいいですしね。

 

なので今回は手術室へは1人で行きました。

スポットライトの当たる台に登り、服を脱いで、まな板の上の鯉です。

まず最初に点滴用に手の甲に管を入れるのですが、

今回は研修医だったため失敗し、なんと効き手の方に点滴を繋がれてしまいました。

これは後々の入院生活を苦難の多いものにします。

心の中でつぶやいていました、

『ど下手くその研修医め!事前の説明ではもちろん効き手と反対側に〜と自信満々だったくせに。

 体が動かせない上に聞き手を封じられてどうせえっちゅうねんボケェ!』と。

 

そして不安なまま横向きになり、今度は硬膜外麻酔用の痛い針を背中に刺して行かれます。

手の甲の点滴すらできない人に神経に近い部分の麻酔を任せるのはなかなか勇気がいりました。

針か管かが長めに入っていくので不快感やピリついた痛みがあります。研修医への不信感で倍増しだったかも。

そして仰向けに戻ってあとは同じ、ガスを吸引してほんのりしたら点滴で麻酔開始、

・・・以上で記憶は終わります。

 

◉手術日(術後)

名前を呼ばれて聞こえるか、手足を動かせるか、痺れはないかの麻酔の確認です。

意識が戻ったら回復室へ運ばれます。

前回同様両足にエアマッサージャーの管、お股に尿管、今回は背中にも麻酔の管、

そして”効き手の方に”点滴の管、計5つ繋がったまま一晩過ごします。

 

15センチほどお腹を縦に切っていますが、

背中の痛み止めがばっちり効いているので自分で追加する必要もありませんでした。

痛いだろうなあと覚悟していましたが強い痛み止めのおかげで全く辛くありません。

腹圧をかけると強い筋肉痛のような鈍い痛みがあるだけで、

術後は麻酔でうつらうつらぼーっとやり過ごしていました。

 

前もですが術後の発熱が38度を超えたため解熱剤を点滴、

汗をいっぱいかいたら楽になりました。

よく眠れるように前回とは薬の調整を変えてもらい

夜も平和に一晩を過ごせました。やっぱり個室はリラックスできるなあ。

 

◉手術翌日

前回4つの穴をちょこっと開けただけとは傷の大きさが明らかに違うのに、

術後のプロセスは同じなのです!

・足が動かせればエアマッサージャーを外す

・お腹が動いて入れば飲水可

・血圧が下がらないように2〜3時間かけて上半身のベッド角度をあげて体を起こす練習

・立つ練習、歩く練習、トイレへ行く練習

・トイレに行ければ尿管を外す

 

腹腔鏡とは違い痛さの酷さというより幅が広い、傷口が開くようで怖い、

今回は自信がありませんでした。

さすがに翌日からは無理でしょと諦めかけていました。

しかしやりましたとも。

1日目が肝心ですよと医師も看護師も歩け動けのご指導。

午前中を使って自発的にベッドの上半身の角度をあげ、

昼から看護師さんに手伝ってもらって起き上がり立ち上がり歩く練習。

やっぱりお腹に力が入らずヨチヨチ歩き。

アラでも背中の麻酔がしっかり効いていて傷口の痛みはない。

痛くないなら取り組みやすい、歩いた方が絶対後で楽になるのはわかっていたので頑張りました。

 

褒め上手な看護師さんのおかげでとっとと尿管を抜いてもらうこともでき、

ついでに洗面をして体を拭くのを手伝ってもらって、

慣れない術衣から自分のパジャマに着替えると生き返ったような心地がしました。

初日は起き上がれば届く範囲に必要な生活用品を看護師さんに並べてもらって、

ひたすら起き上がってものをとる、定期的にトイレに行く、

1人で自習のような作業を続けました。

 

ただ一つ、利き手に点滴を繋がれていたため、

何をするにも苦労しました。

トイレも半腰や中腰はお腹に負担がかかって苦しいのに、

利き手じゃない方で下着の上げ下げや腹帯の固定や紙を必要分とって拭くだけでも大変でした。

利き手の点滴はダメ、絶っっっっ対!

 

◉術後2日目〜

昨日の練習のおかげか朝から起き上がって部屋の中をウロウロできました。

2日目(手術の翌々日)にはお腹も動いており食事が再開します。

また重湯・練り梅・具なし味噌汁・牛乳・お茶のお腹ちゃっぽちゃぽメニューです。

食事が取れたら点滴も背中の痛み止めも抜かれます。

その際は経口でロキソニンで痛みを取ります。

私は傷口の痛みに関しては今回も全く問題ありませんでした。

 

2日目以降悩まされたのはひどい胃痛と膨満感と便秘です。

ロキソニンやらストレスやらで胃が荒れているのか、とにかく胃が痛い。

食欲はあるのにおかゆでも食べている最中から胃が痛くなるので食べられませんでした。

水を飲んでも胃が痛くなるから水分量が足りなかったのかガスも便通も悪い。

胃薬の漢方と下剤を投与という上も下も騒がしい状態でした。

 

下剤で出した直後は下腹部の痛みはなくなるのですが、

ガスなどですぐお腹の張りを感じ、直腸から圧がかかるのでまっすぐ座れないほどでした。

手術の際に転移の確認のためあちこち動かすそうで、

腸がねじれたりしたんじゃないかと懸念が浮かびました。

前回腫れた方の卵巣をとった時は便秘も頻尿も翌日から解消したのに

今回は腸周りのスペースが空いたはずなのになぜこんなにお腹が張るの?

便秘なの?胃薬を服用しているのに水を飲んでも胃が痛いの?

正直、傷よりそっちの方が苦しかったです。

 

あとは咳が怖かった。

乾燥して夜に咳が出る時、痛くてお腹に力を入れられないので、

息を止めていきんでしまう。

そのせいで脳に圧力がかかって頭がクラクラして大変でした。

くしゃみと咳は退院後も数日は恐る恐るでした。

そんなことでお腹が裂けたり絶対しないよと先生は笑いますが、

痛みの強さでいうと咳とくしゃみが最恐だったかなぁ。

腹筋全体に強い筋肉痛が走るみたいな感じです。

 

3日目にはシャワーも浴びられます。

お腹の傷はまだ生々しいですが気分的にはほぼ全快しています。

コーヒーを飲んでベッドの上でTVを見たりモバゲーをしたり早くも気楽な入院生活です。

外来病棟に行って先生の診察(内診)を受けて退院日の目処をつけます。

傷の状態も良く、早く出たい!とお願いし手術後5日目で退院しました。

腹腔鏡手術よりプラス1日多かっただけでした(何倍も切っているのに)。

結局2人部屋はずっと1人で使うことができました。

 

 

ゴロゴロしてるだけなら家でもできるし、

何かあっても家から近い病院なら救急で行けばいい、

当院入院患者は救急でも優先されるとのことでなおさら長居は無用です。

やはり傷口は大きいので、重い荷物を持ったり階段の上り下りはしばらくは難しい。

駅前までお惣菜を買いに寄って帰るだけでも退院日は疲れました。

インフルエンザも流行している寒い時期ですし、

なるべく出かけないで家の中で家事や趣味やアクティブに過ごしました。

 

退院後は胃痛に口内炎まででき、お腹の張りと便秘は続いていたので、

もらっていた痛み止めと胃薬の他にマルチビタミンサプリと食物繊維サプリを飲み、

ご飯の代わりにさつまいもを食べてみました。

ガスはさほど出ないのですが、

退院後2日目あたりから膨満感も少なくなり、

便通が非常〜にスムーズに戻りました。

安納芋は焼きたてホヤホヤよりも一晩冷蔵庫で寝かして

翌日以降の冷えた状態の方が断然美味しいです。

とはいえ手術による腸のねじれや腸閉塞はよくあることなので

この件は次回検診の相談事項に入れています。

 

術後3日目の検診で更年期障害のような症状は出ていないか聞かれました。

そんなに急にくるものですか?と尋ねたら、

退院までの間にホットフラッシュの兆候が出る人も少なくないそうです。

私は前回卵巣を一つとった後も感じたのですが、

今回全部取ってしまってさらに確信を強めていることがあります。

卵巣をとった後の方が、

暑い寒いや情緒に関してはめちゃくちゃ安定しています。

 

寒いけど着こんで歩けばすぐ温まる、

暑くなったらマフラーや上着を脱げば快適になる、

術後の漠然とした不安は皆無で、

病理結果が出るまで悩んだってしょうがないとまで思い安定剤も飲んでないくらいです。

今まではめまいなど自律神経系の不調に悩まされてきましたが、

低気圧の日の体の不調も全然ありません。

不安定なホルモンを分泌がなくなって返って安定してるというか、

更年期が終わったらこんな感じかな?と思うほど体が楽です。

 

以上、混んだ場所や電車で人とお腹がぶつかること以外は何不自由ありません。

病理結果が出るまでは不安も残りますが、

一仕事終えたんだから今は余計なことを考えないで楽しみながら静養しようと思います。

手芸屋さんのセールで生地を買い込み、

デパ地下で好物を買い、

ネイルサロンで久々に手元を綺麗にしていただき、

クリスマスのイルミネーションを楽しんで過ごしています。