またしても自分語りになって申し訳ないが、私は妖怪が昔から大好きだ。

妖怪と言えばの水木しげる大先生の妖怪図鑑はそれこそ小さい頃ボロボロになるまで読んだ。
ちなみに地獄先生ぬ〜べ〜もいまだに大好きである。


いつ頃から妖怪という概念はあったのだろうか。

はるか昔、障子にうつる影や、夜道でふっと吹く生温かい風、風もないのに窓がガタガタ鳴るなど、きっと今では科学で解明できるようなことに対し当時の人々があれこれ思案し生み出された産物。
なんともロマン溢れるものではないか。


初めは子供の落書きだったのかもしれない。
あるいは大人達が夜酒を飲みながら、あーだこーだ言いながら怪奇現象をキャラクター化したのかもしれない。
男子が好きな女子を口説くために作った作り話から派生していったのかもしれない。
もしくは実際に妖怪が自身の存在を知って欲しくてアピールしたのがきっかけなのかもしれない。

ルーツを想像するだけでワクワクしてこないだろうか。



また見た目がなんともいいではないか。

怖かったり、面白かったり、どこかとぼけていたり、描く人によってデザインは異なるものの、すべての妖怪達に私はグッドデザイン賞を差し上げたい所存だ。


とにかく、妖怪はロマンなのだ。
(ロマン2回目)



さて、そんな私のおすすめ妖怪漫画は、佐藤さつき著「妖怪ギガ」だ。

この後細々と述べるが妖怪好きな私にとって、控えめに言っても最高な作品である。

タイトルで勘違いされそうだが、なにもギガという名前の妖怪の物語ではない。
ギガ=戯画であり、基本は1話完結型の様々な妖怪達の物語だ。


怖い話の割合は少ない。ぬ〜べ〜の怖さが10だとしたら1くらいだろうか。
1巻では多少怖い描写もあるが、2巻以降はほとんどない。


他の漫画では怖いとされるような妖怪も、その舞台裏を新しい解釈で描いており、それはどこか情けなく、そして優しさに溢れていて、気づけば愛おしいキャラクターになっている。

クロというオリジナル妖怪のお話だけ、定期的に連続ものとして描かれているのだが、これがまた最高なのだ…!


イメージとしては座敷わらしに近いのだろうか。


クロはご主人の誠治さんが子供の頃からずっとそばにいて、一緒に遊んだり危ないことから身を守ったりしていた。
大人になるにつれて誠治さんはクロの姿が見えなくなってしまうが、それでも1日の終わりにはクロへの挨拶を欠かさない真面目で優しい人物だ。
そんな誠治さんに好きな人ができるが、奥手な性格のためかなかなか関係を進めることができない。そこでクロは2人をくっつけるためにあれこれ手を尽くすが…

といったストーリーだ。


恥ずかしながら私は読みながらはらはらと泣いてしまった。
あまり書いてしまうとネタバレになってしまうのだが、登場人物が全員とにかく思いやりがあって優しい。

そしてなによりクロがとっても健気で可愛い。
誠治さんのために泣いたりボロボロになるまでがんばったりする姿には、エールを送らずにはいられない。
いつかこの漫画がアニメ化して、クログッズが世に出回った際にはぜひ買い占めたい。ぬいぐるみは持たない主義だが、クロのぬいぐるみが販売されたら枕元に置いて眠りたい。それほど可愛い子なのだ。



絵もとってもきれいで、妖怪も人間も可愛らしく描かれている。こんなに絵が上手な漫画家さんがこれまで大々的に出てこなかったことが不思議でならない。(私が知らなかっただけかもしれないが)

最近6巻が発売になったばかりで、これから読み始めてもまだまだ追いつけるので妖怪に興味がある方は一緒にロマンを感じましょう。
(ロマン3回目)