診断後3年未満のパーキンソン病患者を対象とした糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬リキシセナチド療法について、第II相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験で、プラセボと比較して12ヵ月時点での運動障害の進行を抑制したことが示された。ただし、消化器系の副作用を伴った。フランス・トゥールーズ大学病院のWassilios G. Meissner氏らLIXIPARK Study Groupによる検討結果で、NEJM誌2024年4月4日号で発表された。
神経内科の医師のブログ
抜粋です
「私の意見は,
1点目は病態修飾療法でしばしば問題になる点で,「この差は本当に臨床的意義があるか?」ということです.統計的に有意であっても効果は小さいと思いました.アルツハイマー病におけるレカネマブと同様,専門家の中でも意見が分かれるだろうと思います(もちろん将来の可能性を予感させるものですが・・・).
2点目はこの情報を得たPD患者さんは「慌ててこの内服を開始すべきではない」ということです.
まだ第2相試験であり,これから大規模な第3相試験で結論が出ます.
発症3年以内の運動合併症のない人限定の効果であることも理解が必要です.
さらに上述の通り安全性=副作用が問題になります.
吐き気や嘔吐は抗パーキンソン病薬の内服に影響するため避けるべき症状ですし,
体重減少もただでさえ進行期に痩せるPDでは好ましくありません.
さらにGLP-1受容体作動薬の重篤な副作用として低血糖と急性膵炎があります.
決して慌てて内服開始する薬ではないことを認識する必要があります.
研究に疑問もあります.例えば副次エンドポイントで有効性が示せなかった理由が不明ですし,
これだけ副作用が多いと盲検とならなかった可能性もあります.
作用機序も完全に解明されていません.これからに期待したいと思います」