車は、箱根の山道を下っていく。


 
    母親は、その山道でずっと考えていた。



    生きていく方が苦しいのではないか?

    このまま生きる事で、子供達に余計に迷惑を掛けないか?



    その答えは、出るはずもなく、母親に苦しみだけを与える、、、、



    父親は、珍しく何も話さず、運転している。



    しばらくして父が聞く



    「ほんとに良いんだな?」



    その当時の母親に対しては、究極の質問だ。



    「大丈夫。私が何とかする」



    この決意の強さは、後にわかる事になるが、


    母親は、この時から父親になった。




    この箱根の話を聞かされたのが、私が成人した時である。




    母親が、酔って珍しく、おばあちゃんに愚痴ってしまった会話から知った。
 

    私は、半寝だったので、その時起きていたとは、母親は知らない。




    ゆえに、私が箱根で一家心中の危機にあった事を知っている、とは


    母親もいまだ知らない。




    今さら、当時の話を聞くのも、母親にとってつらいだろうから、聞いていない。



    酔った母から、のぞき聞いた話を書いた。





    あの時、母親が苦しみながら出した答え



          生き続ける決意




    感謝してもしきれないが、いつかきちんと感謝が出来るのだろうか?




    私が苦難に立ち向かう事が出来たのも、



    あの時の母親の決意があったからである。




         おかあさん、ありがとう。




-------今日の言葉---------------------


         生き続ける事が苦しいと思えても、


         生き続ける事でしか手に入らない幸せもある。


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昭和時代の自分日記