カズオ・イシグロ「日の名残り」を読む(その1) | 病棟薬剤師&DIやん

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コロナ危機で、Stay at Homeを敢行していますが、

 

余りに暇なので、


今更ながら、

日の名残り (ハヤカワepi文庫) | カズオ イシグロ, Ishiguro, Kazuoを読んでみました。

私の感想は、以下のとおりですが、
ページをめくりなおしたりはせず、
読書中につけた簡単なメモと記憶のみに頼って書いています。

なので、正確ではないところもあるかもしれません。

あらすじは、別の解説サイトに譲るとして、
私は、語り手の執事スティーブンスの職業感が印象に残りました。

曰く、

偉大な執事は、個人的あり方には逃げず、職業的あり方に踏みとどまる。

品格を、持っている人は持っているし、持っていない人は持っていない by Mrグレアム

これに対し、スティーブンスの語り「しかし、一層努力することが職業的責務」

その人の能力の限界に挑み拡張させる。それを克服した人は、新しい基準で自分を判断する

スティーブンスは「品格」というものに、こだわりがあるようです。

品格、それを身に着けても、それを発揮する場が与えられなかったら、偉大さを認められようがない。


とも。

そう言いながら、スティーブンス自身は、ダーリントンホールという、
わりと、大きな、当時の政治的にも存在感のあるところに努めていたわけで、
存分に発揮する機会があった。恵まれていた存在だといえましょう。

しかし、最後には、

雇い主であるダーリントン卿を信じていただけ。そんなのに品格などあるか?

と告白しています。

品格とは、

訪問先の村民が、

品格=公衆の面前で衣服を脱ぎ捨てないこと

と喝破していました。

もちろん、衣服、というのは象徴ですが。
まあ、品格=ふさわしい振る舞いを捨てない、ということだと思いました。
そういう意味で、スティーブンスには、品格がありました。
小説の最後で、自分でもそう再評価しています。

 

あと、先程の告白から、主体性があれば、尚良ということかな。

 

(続く)

 

日の名残り (ハヤカワepi文庫) | カズオ イシグロ, Ishiguro, Kazuo